三浦胤義

三浦胤義：承久の乱で散った悲劇の武将

三浦胤義（みうら たねよし）は、鎌倉時代前期に生きた三浦一族の武将です。父は三浦義澄で、その九男として生まれました。彼は鎌倉幕府の御家人でありながら、承久3年（1221年）の承久の乱では京方の主力として幕府に立ち向かいました。

若き日の活躍と京への道

胤義は元久2年（1205年）の畠山重忠の乱や牧氏事件、建暦3年（1213年）の和田合戦といった幕府の重要な戦いに兄である三浦義村と共に出陣し、武功を立てています。建保6年（1218年）には、源実朝の左大将拝賀に衛府の一人として参列した記録が『吾妻鏡』に残っています。

その後、胤義は京に上り、検非違使判官に任じられたとされていますが、その時期や経緯は定かではありません。しかし、京に留まることになった背景には、複雑な事情があったようです。

承久の乱：京方としての参戦

承久の乱において、胤義は後鳥羽上皇の近臣である藤原秀康から挙兵計画への参加を誘われます。慈光寺本『承久記』によれば、その際、胤義は自身の妻が二代将軍・源頼家の愛妾であり、その子（禅暁）が北条氏によって殺害されたことへの復讐心を語ったとされています。また、古活字本『承久記』には大番役として上京したことが記されており、前田家本『承久記』では、頼朝・頼家・実朝の死後、鎌倉に仕えるべき主がいなくなったことが理由として語られています。

挙兵計画に参加した胤義は、軍議で「義時に味方する者は少ない」と楽観的な見通しを述べています。また、兄・義村を味方につけることが容易だと考えていましたが、期待は裏切られ、義村は胤義からの密書を幕府に届け出てしまいます。

鎌倉では、北条政子が御家人たちに結束を呼びかける演説を行い、その中で秀康と胤義を逆臣として名指ししました。これにより、胤義は京方の中心人物として認識されることになります。

悲劇的な最期

合戦が始まると、胤義は京方の大将軍として美濃国や宇治川で幕府軍と戦いますが、敗北を喫します。幕府軍が京に乱入した際には、院の御所で最後の抵抗を試みますが、拒否され、謀臣として逮捕の院宣が出されます。その後、東寺に立て篭もりますが、兄・義村との対面もむなしく、見捨てられてしまいます。

最終的に、胤義は子息の胤連、兼義と共に西山の木嶋（現在の京都市右京区太秦の木嶋坐天照御魂神社）で自害し、その生涯を閉じました。東国に残された幼い子供たちも処刑されるという悲劇的な結末を迎えました。

古活字本『承久記』には「胤義其罪重シ」と記されており、彼が京方の中心人物と見なされたことが、その厳罰の理由であったとされています。

関連作品

胤義は、以下のテレビドラマで描かれています。

『草燃える』（1979年、NHK大河ドラマ、演：柴俊夫）
『鎌倉殿の13人』（2022年、NHK大河ドラマ、演：岸田タツヤ）

脚注

注釈

出典

関連項目

* 承久の乱

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