三田一也

三田 一也（みた かずや）

三田一也は、1898年10月13日に生まれ、1998年6月3日に逝去した日本の元船員、軍人、海上保安官です。彼は埼玉県羽生市出身であり、教育を受けたのは埼玉県立不動岡中学校（現在の埼玉県立不動岡高等学校）です。

学歴と海軍入り

三田は、1922年に東京高等商船学校航海科を首席で卒業し、その卒業論文は東京海洋大学の越中島会館に保存されています。卒業後は日本郵船で士官としてのキャリアをスタートさせ、支那事変の初期に充員召集されました。水上機母艦神威の内務長を経て、特設砲艦第五信洋丸の艦長に任命されるなど、多くの艦艇で活躍しましたが、その艦が対潜戦闘で沈没し、負傷しました。その後療養を経て軍令部に配属され、海上護衛総隊の発足に伴い、シーレーン防衛の研究に従事しました。

海上保安庁での活動

戦後、三田は海上保安庁に転職し、保安局長や警備救難監を歴任しました。また1969年には日本海事検定協会の会長にも就任し、同協会の発展にも尽力しました。おおむねその活動は海上安全の確保と業界の発展に向けられていました。

Y委員会と反戦の姿勢

三田は、再軍備問題を討議した「Y委員会」の主要メンバーとしても知られています。この委員会は旧海軍出身者が多数を占めており、再軍備を推進する意見が強い中、三田は一貫して反対の立場を表明しました。彼は自身の専門知識に基づき、軍事力の増強に対する懸念を強く抱いていました。特に、海上護衛戦の重要性を洞察し、護衛艦の不足が生じる中で商船乗りの危険を訴え続けました。

海上護衛戦における見解

戦時中、少佐として護衛戦の作戦を立案していた三田は、昭和19年には極秘資料を作成しました。この資料では護衛艦が不足している事実を示し、兵站を担う商船乗りの被害の深刻さを警告しましたが、当時の上司によって廃棄処分にされてしまいました。三田はこの経験から、商船乗りを戦地に送る際に「真実を語ることができなかった」ことに対し強い自責の念を抱いていました。彼は「殆どの艦長は戻って来なかった」と語り、同級生を含む多くの仲間が犠牲になった事実に心を痛めていたのです。

結論

1998年に逝去した三田一也は、海上安全の確保や教育、そして海上自衛隊の再軍備についての議論を通じて、日本の海上活動の歴史に深く関わった人物です。彼の反戦の姿勢や見識は、今なお多くの人々に評価されています。

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