三田村泰助

三田村泰助

三田村泰助（みたむら たいすけ、1909年10月9日 - 1989年9月23日）は、日本の歴史家で、東洋史、特に中国史を専門としていました。

経歴

1909年、福井県南条郡武生町（現在の越前市）に生まれました。山口高校を経て京都帝国大学東洋史学科に進学し、内藤湖南、羽田亨に師事しました。1949年から1980年まで立命館大学で教授を務め、定年退職後には名誉教授となりました。1989年9月に逝去されました。

受賞・栄典

1963年、『宦官』で毎日出版文化賞を受賞しました。

研究内容・業績

専門は明清史であり、羽田亨と共に『満和辞典』の編纂に携わるなど、満洲史の権威としても知られています。主な研究テーマは、中国の政治史、社会史、文化史など多岐にわたり、特に明代と清代の社会構造や政治制度に関する研究で高く評価されています。

代表作である『宦官 側近政治の構造』は、中国史における宦官の役割を政治構造の側面から詳細に分析したもので、中国史研究における重要な著作として広く読まれています。この著作は、宦官が単なる宮廷内の存在ではなく、政治権力の中枢において重要な役割を果たしていたことを明らかにし、中国政治史の理解を深める上で大きな貢献を果たしました。

また、『清朝前史の研究』では、清朝の成立過程を詳細に分析し、その歴史的背景を明らかにしました。さらに、『東洋の歴史』や『世界の歴史』などの一般向けの著作も手がけ、東洋史、中国史の知識を広く社会に普及させることに貢献しました。

三田村泰助の研究は、実証的な史料に基づいた詳細な分析と、社会構造や政治制度に対する深い洞察によって特徴づけられています。その業績は、日本の中国史研究に大きな影響を与え、後進の研究者たちに多大な影響を与えました。

著作

『宦官 側近政治の構造』 中公新書, 1963　のち文庫
『清朝前史の研究』 東洋史研究会, 1965
『東洋の歴史』8：明帝国と倭寇 1967 人物往来社 のち中公文庫
『内藤湖南』 中公新書, 1972
『世界の歴史』14 明と清 河出書房新社, 1974 のち文庫
『生活の世界歴史』2：黄土を拓いた人びと 河出書房新社, 1976 のち文庫

記念論集

* 『東洋史論叢：三田村博士古稀記念』 立命館大学人文学会, 1980

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