羽田亨

羽田 亨（はねだ とおる）の生涯と業績

羽田亨は1882年5月15日に京都府峰山町（現在の京丹後市）で生まれ、1955年に亡くなるまで日本の東洋史学の発展に尽力した重要な学者です。彼は京都帝国大学の第12代総長を務め、名誉教授としてもその名を馳せました。1945年には文化勲章を受章し、多くの学問的業績を残しました。

生涯のあゆみ

羽田は1904年に第三高等学校を卒業し、その後東京帝国大学文科大学史学科に進学。そこで内藤湖南から多くを学びました。1907年には大学を卒業し、同年秋には京都帝国大学の大学院に進学しました。彼は最初の一人の大学院生として学び始め、1909年に京大の講師となりました。

1913年には助[[教授]]に昇進し、1924年には教授として東洋史学を専門的に教授しました。彼はフランスへの研究留学を経て、ポール・ペリオと共に敦煌文書の調査を行い、その成果は今でも高く評価されています。

京都帝国大学の総長としての貢献

戦時下にあたる1938年、急逝した濱田耕作総長の後任として羽田は総長に就任しました。その在任中、彼は多くの研究所の設立に心血を注ぎました。特に人文科学研究所や結核研究所、木材研究所の設立に貢献し、学問の進展に寄与しました。彼の優れた弁舌は他大学の総長を圧倒し、1943年には大学院の特別研究制度を実現させるなど、学問界における影響力を強めました。

彼の学徒出陣式での訓示は多くの学生に感動を与え、「大学は門を開いて諸君を待っている」との言葉が特に有名です。1945年には京大を定年退官し、その後名誉教授としての地位を保ちました。

研究業績と後継者への影響

羽田の主な研究テーマは「塞外史」や「西域史」であり、内藤湖南や桑原隲藏と共に京都大学の東洋史学の黄金期を築く手助けをしました。彼は西域に関するさまざまな遺文の解明に貢献し、日本の西域史学の確立に寄与しました。内藤や桑原が亡くなった後も、彼は学生たちを指導し続け、京大が世界的な東洋学・東洋史研究の拠点としての地位を確固たるものにするのに貢献しました。

彼の著作『西域文明史概論・西域文化史』は1992年に復刊され、現在でも学術的価値を持つ書籍とされています。また、彼の影響を受けた弟子たちはさらに東洋史学の研究を深め、国際的な舞台で活躍しています。

家族と系譜

羽田亨の息子である羽田明も東洋史学者として知られ、特に中央アジアの歴史に関する研究を行っています。さらに、彼の孫にあたる羽田亨一は西アジア史（特にイラン史）の研究者であり、東京外国語大学の名誉教授としてその地位を築いています。別の孫である羽田正もイスラーム史学者として著名で、東京大学の名誉教授として活躍しています。

晩年と名誉

1955年4月13日に膵臓癌と肺炎を併発し、京都大学医学部附属病院で亡くなりました。彼の功績を称えるため、1966年に川端音楽センターの近くに「ユーラシア文化研究センター」が設立されました。これは後に「羽田記念館」となり、羽田の学問的な足跡を今に伝えています。彼の生涯は学問に捧げられたものであり、現在でも多くの日本の研究者たちに影響を与え続けています。

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