ドン・レオ・ジョナサン

ドン・レオ・ジョナサン：人間台風と称された不世出のプロレスラー

ドン・レオ・ジョナサン（Don Leo Jonathan、本名：Don Heaton、1931年4月29日 - 2018年10月13日）は、アメリカ合衆国ユタ州出身のプロレスラーです。その恵まれた体格と驚異的な運動能力から、「ルー・テーズを超える」とまで評される実力者でしたが、ビジネスにも注力していたため、主要なタイトルには縁遠い存在でした。日本では「人間台風」や「モルモンの暗殺者」という異名で知られています。

生い立ちとデビュー

ジョナサンは、同じくプロレスラーであったブラザー・ジョナサンの息子として生まれました。父の厳しい指導のもと、1949年にプロレスラーとしてのキャリアをスタートさせます。アメリカの太平洋岸から北東部にかけて各地を転戦し、その名を広めていきました。

王座戴冠と活躍

1953年11月24日、カナダのオタワでキラー・コワルスキーからモントリオール版の世界ヘビー級王座を奪取し、初のタイトルを獲得。その後もNWAの主要テリトリーに進出し、1957年4月19日にはテキサス州ヒューストンでペッパー・ゴメスを破り、NWAテキサス・ヘビー級王座を獲得しました。1959年10月29日にはトロントでジン・キニスキーとタッグを組み、ホイッパー・ビリー・ワトソン&ユーコン・エリックからNWAカナディアン・オープン・タッグ王座を奪取するなど、数々のタイトルを獲得しました。

1961年1月7日にはネブラスカ州オマハでドクターX（ビル・ミラー）を破り、オマハ版の世界ヘビー級王座を獲得。同年4月7日にもドクターX、5月20日には王座決定戦でボボ・ブラジルを下し、旧版のAWA世界ヘビー級王座とされる同タイトルを通算3回獲得しています。ただし、これはバーン・ガニアによる統一前の戴冠であったため、AWA側の公式世界王者としてはカウントされていません。

タッグマッチでもその実力を発揮し、1963年9月24日にはロサンゼルスのWWAでフレッド・ブラッシーと組み、ベアキャット・ライト&ミスター・モトからWWA認定のUSタッグ王座（後のWWA世界タッグ王座）を奪取。オーストラリアではアントニオ・プリエーゼをパートナーに、スカル・マーフィー&ブルート・バーナードなどのチームとIWA世界タッグ王座を争いました。

カナダのバンクーバー地区を主戦場としていた時期には、ジン・キニスキー、ファビュラス・カンガルーズ、ジョン・トロス、スタン・スタージャック、ボブ・ブラウンらとNWA太平洋岸ヘビー級王座を巡り激戦を繰り広げ、同王座を通算5回獲得しました。

ニューヨークのWWWF（現WWE）にも、グラン・ウィザードをマネージャーにヒールのポジションで参戦。1973年にはペドロ・モラレス、1974年にはブルーノ・サンマルチノが保持していたWWWFヘビー級王座に挑戦しました。

1970年代には南アフリカにも遠征し、1975年にジャン・ウィルキンスからEWU世界スーパーヘビー級王座を奪取。1977年9月1日にはヨハネスブルグでオットー・ワンツを破りCWA世界ヘビー級王座を獲得しました。

日本での活躍

日本へは1958年9月に日本プロレスに初参戦し、力道山のインターナショナル・ヘビー級王座に挑戦。その後も数回来日し、ジャイアント馬場やアントニオ猪木らと激闘を繰り広げました。1972年には国際プロレスの『第4回ワールド・シリーズ』に参戦し、アンドレ・ザ・ジャイアントとも対戦。1973年からは全[[日本プロレス]]に参戦し、馬場とのタッグや対戦でファンを魅了しました。

卓越した運動能力と怪力

ジョナサンは、巨体ながらもトンボを切れるほどの運動神経と、多彩なレスリングテクニックの持ち主でした。キーロックを仕掛けた馬場やジャンボ鶴田を軽々と持ち上げたり、コーナー最上段の相手にドロップキックを放ったりするなど、その身体能力は驚異的でした。狩りで仕留めた300キロもある大鹿を担いで山を降りたというエピソードも残っています。

馬場正平との友情

馬場正平とは深い友情で結ばれており、馬場のアメリカ修業時代にはタッグを組んでいました。1989年には全[[日本プロレス]]のレトロ企画『OLDIES BUT GOODIES』の第1回ゲストとして、11年ぶりに来日を果たしました。

晩年

2018年8月末頃にブリティッシュコロンビア州ラングリーの病院に入院し、そのまま10月13日に死去。87歳でした。

得意技

ハイジャック・バックブリーカー
ジャイアント・スイング
サンセット・フリップ
スタンプ・ホールド

ドン・レオ・ジョナサンは、その圧倒的な存在感と実力で、プロレス史に名を刻んだ偉大なレスラーでした。

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