三菱ダイヤモンド・サッカー

三菱ダイヤモンド・サッカー：日本サッカー黎明期を照らした光

『三菱ダイヤモンド・サッカー』は、1968年から1996年まで、2期にわたってテレビ東京（旧東京12チャンネル）で放送されたサッカー情報番組です。三菱グループの提供で、海外サッカーの情報を日本のファンに届け、サッカー人気を支えました。

第1期：海外サッカーの翻訳と紹介

番組の始まりは、1968年。イギリスBBCの『マッチ・オブ・ザ・デイ』を翻訳し、金子勝彦アナウンサーと岡野俊一郎氏の解説で放送を開始しました。当初は『イギリスプロサッカー』というタイトルでしたが、1970年に『ダイヤモンドサッカー』として再スタートを切りました。

三菱商事の社員だった諸橋晋六氏が、東京12チャンネルの番組審議委員を務めていた篠島秀雄氏に『マッチ・オブ・ザ・デイ』のような番組の必要性を訴え、篠島氏が局に番組制作を提案したことがきっかけでした。また、解説者には篠島氏の後輩である岡野俊一郎氏が選ばれました。

番組では、ヨーロッパのリーグ戦や国際親善試合、ワールドカップ予選などを2週に分けて放送。1980年代には、奥寺康彦選手のドイツ・ブンデスリーガでの活躍も伝えられました。番組ロゴには「日本サッカー協会推薦番組」の文字が入り、『サッカーマガジン』が制作協力としてクレジットされていました。

1974年のFIFAワールドカップでは全試合を放送。決勝の西ドイツ対オランダ戦は、他局が参院選の開票速報を放送する中、生中継を実施しました。視聴率は3.7%でしたが、海外サッカーを知る貴重な機会として、多くのサッカーファンに支持されました。金子アナウンサーの「サッカーを愛する皆さん、ご機嫌いかがでしょうか?」というオープニングの挨拶は、番組の名物となりました。

また、三浦知良選手の父である納谷宣雄氏の協力により、南米の試合も放送されるようになりました。1988年3月に一旦終了し、993回の放送を数えました。

第2期：Jリーグ情報番組として復活

1993年4月、川平慈英さんをキャスターに、Jリーグ情報番組として『三菱ダイヤモンド・サッカー』が復活しました。金子勝彦氏もコメンテーターとして出演し、岩崎由実さん、佐々木明子アナウンサー、大仁邦彌氏らも番組を盛り上げました。

1995年3月にはJリーグ情報番組としての役割を終え、翌4月からは関東ローカルで海外サッカー情報を提供する番組として存続。1996年4月からはテレビ北海道でも放送されるようになりました。

その後：番組の遺産

2005年から2006年には、BSジャパンで『サッカーTVワイド』というサッカー専門番組が放送されました。また、2008年にはTBSの『スーパーサッカー』で当時の映像が再現放送されました。

海外サッカーリーグのテレビ中継という画期的な試みは、2014年のテレビ番組でも取り上げられ、当時の映像が紹介されました。2017年には、日本サッカーミュージアムで番組放送開始50周年記念トークイベントが開催されました。

各地での放送とテーマ曲

番組は各地のローカル局にも販売されましたが、スポンサーの関係で番組名やオープニングが変更されることもありました。テーマ曲は「ドラム・マジョレット」という行進曲で、『マッチ・オブ・ザ・デイ』の初代主題歌でもありました。この曲は、サッカーゲーム『サカつく2004』のオープニングテーマにも使用されています。

関連書籍

2008年には、『「ダイヤモンドサッカー」の時代』という書籍が刊行され、番組の歴史や関係者の証言がまとめられています。

『三菱ダイヤモンド・サッカー』は、日本のサッカーファンにとって特別な番組であり、その功績は今も語り継がれています。

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