三菱・みずしま

三菱・みずしまの概要

三菱・みずしま（みつびしみずしま）は、新三菱重工業水島製作所が太平洋戦争終戦後に初めて生産したオート三輪型ピックアップトラックのシリーズ名です。このトラックは、1946年に製造が始まり、約16年間にわたって市場に流通しました。このモデルは、戦後の日本における小型車両の普及に重要な役割を果たし、特に官公庁や大企業向けの製品に重点を置きながらも、民間向けの開発においても先駆的な存在となりました。

みずしまトラックは、機械的には頑丈でシンプルな構造を有し、当時の軍用トラック製造技術を活用しつつ、先行のオート三輪メーカーを参考にして設計されました。運転台には折り畳み式キャンバストップとフロントガラスが装備され、744ccの単気筒エンジンを搭載し、最大400kgの積載量を誇りました。このモデルは、新三菱の他の製品と共に戦後日本のモータリゼーションの推進に寄与しました。

歴史的背景と進化

「みずしま」という名称のもと、初期モデルの販売は思惑通りに進行しました。モデルバリエーションは少なかったものの、基礎的な商品力の高さ、高品質な材質、早期の販売網整備などが功を奏し、1940年代末期にはオート三輪業界の大手の一つとなりました。また、1949年にはオート三輪業界で初めて月賦販売を開始し、顧客を獲得する大きな要因となりました。

1948年にはハードトップ型キャビンを備えたTM3D型が登場し、翌年からは新しいテレスコピック式サスペンションが導入され、乗り心地が大幅に改善されました。1952年には投下式の866cc・21馬力エンジンを搭載したTM4E型が登場し、積載量が1トンに増加しました。その後も、1955年にはセルモーターや前進4段トランスミッションが装備され、TM5型とTM6型が展開されました。

この時期、モデル名は「みずしま」から「三菱号」に変更され、新しいエンジン技術が採用されつつ、デザインや快適性の向上が図られました。オート三輪市場が徐々に縮小し、競合が増加する中で、三菱は4輪トラック市場に注力し、「三菱・ジュピター」や「三菱・360」といった4輪モデルの開発を進めることになります。

三菱・レオの登場

1959年には軽自動車規格に準じて派生車種「三菱・レオ」が登場しました。これは「三菱3輪ペット」と名付けられ、特徴的なデザインが話題となりました。オールスチール製キャビンを持ち、はじめてシンクロメッシュ式3速MTを採用。その性能は当時の軽オート三輪の中でも群を抜いていました。レオは短期間で約28,000台が売れ、スピードとデザインにおいて多くの支持を得ました。

みずしまの終焉とその影響

1961年の4輪軽貨物車「三菱・360」の成功以降、三菱はオート三輪の生産を1962年に終了します。この時、みずしまオート三輪シリーズは35車種、約91,000台が生産されたとされています。むしろこれらのモデルは、三菱自動車が今後の方向性を決定づける重要な基盤となり、後のミニカやミニキャブの開発に大きな影響を与えました。

以上のように、三菱・みずしまは日本自動車産業の戦後の発展において重要なマイルストーンとなり、さまざまな技術やデザインが凝縮された貴重な存在でした。

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