三菱・タウンボックス

三菱タウンボックス：軽キャブワゴンの進化

三菱自動車が販売するタウンボックスは、軽自動車規格のワンボックス型ワゴンです。初代モデルは1999年に登場し、2011年まで生産されました。その後、一時生産を終了しましたが、2014年にスズキ・エブリイワゴンのOEM供給モデルとして復活しました。本稿では、初代モデルから最新モデルまで、タウンボックスの歴史と進化を詳細に解説します。

初代（1999年 - 2011年）：個性的なデザインと快適装備

初代タウンボックスは、1999年にブラボーの後継モデルとして登場しました。軽ワンボックス車としては初の5ナンバー車となり、ミニキャブをベースとしながらも、独自の魅力を持っていました。初期の広告では「T-BOX」や「T-BOXワイド」とも呼ばれていました。

デザインと構造

駆動方式は、フロントエンジン・リヤドライブ方式を採用し、エンジンを運転席下に搭載するキャブオーバー型です。フロントタイヤを前方に移動させ、後席足元空間を拡大することで、ライバル車との差別化を図っています。リアシートは、当初キャプテンシートとウォークスルー機能を備えていましたが、2000年のマイナーチェンジで分割可倒式ベンチシートに変更されました。これは、初期型の後席の快適性や格納時の利便性を考慮した結果です。

特徴的な装備

リアコンビネーションランプは、当時軽自動車では珍しい丸型4灯式を採用。テールランプとブレーキランプが独立したデザインも特徴的でした。また、パワーウィンドウやセンターロックなどの快適装備に加え、軽自動車初のカセットチューナーや三菱独自のMMESカーナビゲーションも設定されました。

グレードと変遷

- 1999年: 販売開始。RX、LX、SXの3グレード構成で、4ATまたは5MT、2WDまたはパートタイム4WDが選択可能でした。
- 2000年: 特別仕様車「セレクト」「セレクトターボ」を追加。マイナーチェンジでフロントマスクのデザイン変更、安全装備の拡充、リアシートの変更を実施。
- 2002年: 「RX」のエンジンを4気筒DOHCから3気筒SOHCに変更。4WDがパートタイム式からフルタイム式に変更。
- 2004年: 衝突安全ボディ「RISE」を採用。エンジン改良と新触媒の採用で排出ガス低減。
- 2005年: 「SX」グレードを廃止。オーディオがCDプレーヤーに変更。
- 2006年: サイドミラーのデザイン変更。
- 2007年: 日産自動車へ「クリッパーRIO」としてOEM供給開始。マイナーチェンジで内外装のデザイン変更、快適装備の追加。
- 2009年: インパネやメーターのデザインを一新。オーディオを2DIN CDプレーヤーに変更。
- 2010年: 「LX」グレードの燃費を向上。「最長10年10万km特別保証延長」の対象車種に。キャンピングカー「キャンパー」を発売。
- 2011年: 販売終了。

ラインナップ

- RX: ターボエンジン搭載モデル。デビュー当初は4気筒DOHC20バルブエンジンを搭載していましたが、2002年に3気筒SOHC12バルブエンジンに変更されました。
- LX: 自然吸気エンジン搭載の最量販グレード。
- SX: 最廉価モデル。タコメーターやトリップメーターは非搭載でした。

特別仕様車

- キャンパー: 軽自動車規格の本格キャンピングカー。ポップアップルーフ仕様も用意されていました。
- ハーティーラン: 福祉車両（車イス移動車）。
- ROAR Complete: ドレスアップ仕様車。

2代目（2014年 - 2015年）：スズキ・エブリイワゴンのOEM

2014年、タウンボックスはスズキ・エブリイワゴンのOEMモデルとして復活しました。外観はエンブレム類が変更された程度で、基本的にはエブリイワゴンと同一です。スタイリッシュなエアロフォルムやメッキパーツが特徴的で、内装色にはベージュを採用しています。リアシートには前後スライドとリクライニング機構が備わり、快適性が向上しました。また、電動スライドドアや電動オートステップなどの装備も充実しています。

変更点

- スタイリッシュなエアロフォルム
- メッキパーツの採用
- ベージュの内装色
- 150mmの前後スライドとリクライニング機構を備えたリアシート
- フロントシートも倒してフルフラットにできるシートアレンジ
- 充実した収納スペース
- 電動スライドドア、スライドドアイージークローザー、電動オートステップを装備
- フルオートエアコン、リアヒーター、運転席シートヒーター（4WD車のみ）を標準装備
- セキュリティアラームシステムを採用
- パワートレインはターボエンジンと4ATのみ

グレード構成

標準ルーフ車の「G」とハイルーフ車の「Gスペシャル」の2グレード構成。

3代目（2015年 - 現在）：室内空間の拡大と安全装備の充実

2015年、タウンボックスはフルモデルチェンジを行い、3代目へと進化しました。室内長、室内幅、室内高を拡大し、広い室内空間を確保しています。フロントシートをベンチシートに変更し、シートスライド量を拡大したことで前席ウォークスルーも可能になりました。また、ホイールベースの拡大とリアシートスライド量の拡張により前後乗員間距離も拡大しました。

特徴

- 室内空間を拡大
- フロントシートをベンチシートに変更
- ワンタッチ電動スライドドアを採用
- 縦型のリアスライドドアハンドル
- 助手席側サイドアンダーミラー付ドアミラー
- 車速連動式オートドアロック
- オートライトコントロール
- エンジンスイッチ+キーレスオペレーションシステム
- ステアリングオーディオスイッチ
- R06A型ターボエンジン
- 低車速域衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM-City」
- アクティブスタビリティコントロール（ASC）
- エマージェンシーストップシグナルシステムを標準装備

グレードと変遷

- 2015年: フルモデルチェンジ。「G」と「Gスペシャル」の2グレード構成。全車ハイルーフ化。
- 2019年: 一部改良。「e-Assist」の性能向上。
- 2020年: WLTCモードに対応。
- 2021年: アイドリングストップシステムを全車に標準装備。
- 2022年: ルームランプ（リア）をLED化。新色を追加。
- 2024年: トランスミッションをCVTに変更。走行モード切り替え機能を追加。ヘッドライトをLED化。

タウンボックスワイド：小型乗用車規格の派生モデル

1999年 6月には、パジェロジュニアやトッポBJワイドと共通のエンジンを搭載したタウンボックスワイドが登場しました。小型乗用車登録で、2WDとフルタイム4WDが用意されていました。3列シートの6人乗りですが、3列目シートは補助席のような作りで、実質的には4人乗り+2人乗りでした。販売台数は低迷し、2001年 8月に販売終了となりました。

特徴

- 小型乗用車登録
- 3列シート6人乗り
- 3列目シートは補助席のような作り
- オーバーフェンダーを採用

歴史

- 1999年: 販売開始。限定モデル「ボディアート・スペシャル」を販売。
- 2000年: マイナーチェンジ。
- 2001年: 販売終了。

派生車

- プロトン・ジュアラ: タウンボックスワイドの現地生産車。

まとめ

三菱タウンボックスは、初代モデルから最新モデルまで、時代に合わせて進化を続けてきました。軽自動車規格の制約の中で、快適性、機能性、安全性を追求し、独自の魅力を放っています。これからも、タウンボックスはユーザーのニーズに応えながら、進化を続けていくことでしょう。

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