三菱・3B2型エンジン

三菱・3B2型エンジンは、2005年から2020年の間に三菱自動車工業によって製造されたガソリンエンジンのひとつです。このエンジンは主に軽自動車向けに設計されており、特に3B20型とそのバリエーションである3B21型が知られています。特に3B20型は、軽自動車に特化した設計が施されており、さまざまな車両に搭載されました。

エンジンの概要

3B20型エンジンは、2006年1月に登場した三菱の軽自動車i（アイ）に最初に搭載されました。最初はインタークーラー付きのターボエンジンとして販売され、その後マイナーチェンジに伴って自然吸気型も追加されました。このエンジンは、以前の3G83型の後継モデルでありましたが、iの特性に合わせて特別に設計と開発が進められたため、他の車両への展開は見られませんでした。2013年からは3代目eKシリーズや2014年の初代eKスペース、さらには初代日産・デイズやデイズルークスの姉妹車にもラインナップされることとなりました。

3B21型は、3B20型の排気量を拡大したものであり、海外市場では2007年にモデルチェンジを果たしたスマート社のフォーツークーペに自然吸気仕様が搭載されています。特にこのモデルは、メルセデス・ベンツにおけるエンジン型式M132として記載されています。また、ブラバスによってチューニングされたフォーツークーペBRABUSエクスクルーシブにはターボエンジンが装備されています。ただし、3代目スマート・フォーツーや他のモデルには異なるエンジンが搭載されています。

機構の特徴

3B20型エンジンの基本構成は、水冷直列3気筒のDOHC12バルブ形式で、各気筒には4つのバルブがあります。その大きな特徴として、エンジンが搭載される際にシリンダーブロックが45度傾斜しています。この設計は、リア・ミッドシップレイアウトで設計されたi車両に特に適した設計となっており、低重心化の効果もあります。しかし、これ以降に搭載されるeKシリーズやデイズシリーズではフロントエンジンレイアウトが採用されたため、45度の傾斜はなくなり、一般的な直立式の取り付けに変更されました。また、前方吸気と後方排気の設計により、これらの車両はFF駆動の軽自動車の中で初めてこのような配置になりました。

ターボおよび自然吸気タイプのエンジンにはMIVEC（可変バルブ機構）が搭載されており、効率的なパフォーマンスを実現しています。シリンダーブロックはオイルパンやヘッドカバーを含めアルミニウム製で、軽量さとコンパクトさを追求した設計になっています。これにより、従来の鋳鉄シリンダーブロック製の3G83型に比べ、約20％の軽量化を達成しています。

ターボ仕様エンジンは、ターボチャージャーとMIVECを組み合わせることにより、低回転域でのトルクを向上させる効果も持っています。また、カムシャフトの駆動にはタイミングチェーンが使われており、摩耗が少なく、メンテナンスが容易です。

さらに、初代eKスペースや新世代の3B20搭載車両では、国内初の電子制御サーモスタットが採用され、省燃費性にも向上をもたらしています。多くの改良が施されており、軽自動車の技術革新に寄与していると言えます。特に、冷却経路や動弁系のフリクションを低下させるための工夫が施されており、高効率と高性能を両立したエンジンとなりました。

主要な諸元

3B20型（i専用）

- 製造期間: 2005年12月 - 2013年4月
- 構成: 直列3気筒 DOHC 12バルブ MIVEC
- 排気量: 659cc
- 圧縮比: ターボ8.8、自然吸気10.8
- 出力・トルク: ターボ 47kW（64ps）/6,000rpm・94N·m（9.6kg·m）/3,000rpm、自然吸気 38kW（52ps）/7,000rpm・57N·m（5.8kg·m）/4,000rpm

3B21型

- 製造期間: 2007年 - 2013年
- 構成: 直列3気筒 DOHC 12バルブ自然吸気 MIVEC
- 排気量: 999cc
- 圧縮比: 11.4
- 出力・トルク: 52kW（71ps）/5,800rpm・92N·m（9.4kgf·m）/4,500rpm

結論

三菱・3B2型エンジンは、軽自動車市場において重要な役割を果たした技術であり、同社による軽自動車専用エンジンの終焉を迎える形となりました。しかし、その性能と工夫に基づく独自性は、後続モデルにも影響を与えています。

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