三菱・FTO

FTO（エフティーオー）について

FTOは、かつて三菱自動車工業が製造した2ドアノッチバッククーペで、特に「ホットモデル」として知られるギャランクーペの名を引き継いでいます。この車は1994年から2000年まで製造され、兄貴分のGTOに続くモデルとして登場しました。基本コンポーネンツはミラージュと共用しており、駆動方式は前輪駆動のみです。

FTOのエンジンは、6A12型の2.0L V型6気筒DOHC24バルブと、4G93型の1.8L直列4気筒SOHC16バルブの2種類が設定されています。V型6気筒エンジンは170PS（マイナーチェンジ後180PS）と、MIVECを搭載した200PS仕様がありました。また、AT車には、当時日本初のマニュアルモードを搭載したINVECS-IIが採用されており、4速から5速に進化しました。これは、他のメーカーの同クラス車両にはない特徴でした。

FTOは他社の同クラスモデルがMTを重視する中で、AT車中心の販売戦略を採用し、同クラスの車両よりもATが優位にあったことも話題となりました。さらに、FTOは重めのエンジンを搭載しながらも、足回りは硬く調整されており、優れた旋回性能を誇ります。国産車の中でも非常に高いボディ剛性を確保しており、評論家からも「ドリフト競技でFF車部門があれば一番」と評されていました。このため、ホンダ・インテグラタイプRが登場するまで、FTOは「国産FF車最速」と称されていました。

初代（1994年-2000年）DE2/3A型の歴史

1994年10月、FTOは発売を開始し、キャッチコピーは『この運動神経は、ただ者じゃない』でした。初年度で日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、特別仕様車も500台限定で発売されました。

その後、1996年2月にはマイナーチェンジが行われ、運転席のSRSエアバッグが標準装備として追加されました。1997年2月には再度のマイナーチェンジが実施され、外観デザインやエンジン性能が向上され、ATも5速化されました。ただし、2000年には新たに設定された側面衝突安全基準に適合できず、生産が終了しました。

FTOの総販売台数は3万8,028台に達し、最盛期には1995年に約2万台の販売を記録しました。生産は三菱自動車工業水島製作所で行われました。

FTO EVとモータースポーツ

1998年には、FTOをベースにした電気自動車FTO-EVも開発されました。リチウムイオン電池を使用し、最高出力70kWのモーターで駆動。1回の充電で約150km走行でき、安全な最高速度は186km/hでした。

また、FTOは1998年から全日本GT選手権（現・SUPER GT）でも活躍し、特にGT300クラスにて良好な成績を残しました。エンジンをチューニングしての参加が印象的で、日本のモータースポーツシーンでも多くのファンを惹きつけた車でした。

車名の由来

FTOの名称は「Fresh Touring Origination」の略で、「若々しいツーリングカーの創造」という意味が込められています。この車は、スペシャリティカーとしての位置づけと、卓越した走行性能を兼ね備えた名車として、今なお多くの愛好者に支持されています。

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