三里の渡し

三里の渡しについて

三里の渡し（さんりのわたし）は、愛知県の佐屋宿と三重県の桑名宿を結ぶ水路で、かつては重要な官道の一部として利用されていました。この渡しは、佐屋川から木曽川に入り、鰻江川を経由して桑名で東海道に合流する全長約3里（約12キロメートル）の航路を形成していました。

この航路は「佐屋の渡し」とも称され、利用の利便性から多くの人々に重宝されていました。特に、陸路での移動に比べて水路を経由することで、難破のリスクや船酔いの不安を軽減できたことから、一層の人気を得ることとなりました。三里の渡しの名称も、航路の長さに由来しています。

歴史的背景

三里の渡しは、佐屋宿から桑名宿までをつなぐ川の航路として古くから利用されてきました。津島はその歴史が長く、平安時代には天王川と佐屋川を通克して桑名とつながっていました。しかし、津島から桑名までの水路が一里長かったため、また浅くなってしまっていたため、尾張藩は1666年に津島湊を廃止し、その後も本陣を閉鎖しました。

佐屋街道の整備以前は、桑名への水路は定まっていませんでしたが、1667年の佐屋宿と万場宿の設置により、運行される船路もより明確になりました。この時期、佐屋は渡船場としての機能を果たし始めました。特に1701年の『尾張国絵図』では、桑名と佐屋の水路が明記され、三里の航路が存在していたことがわかります。

航路の変遷と課題

しかし、江戸時代後期になると佐屋川は木曽川の流れる土砂によって浅瀬が増え、川舟の航行に支障をきたすようになりました。幕府の支援により川の浚渫作業が行われましたが、土砂の堆積に対抗することは難しく、最終的には宿場から離れた五ノ三村に新しい出湊として川平湊を開設することが余儀なくされました。この結果、佐屋宿は大きな負担を強いられることとなりました。

また、佐屋宿の移転計画も度々提案されました。1772年には川の浚渫の資金を得るために幕府に陳謝し、1808年には川下の荷之上村に仮会所を設置されましたが、最終的には実現しませんでした。1843年には五明村への移転が申請されましたが、こちらも実を結ぶことはなかったたため、宿の負担は明治にかけても続いたのです。

三里の渡しの廃止

そして1872年に至り、佐屋街道は熱田から福田を経由して前ケ須へ至る前ヶ須街道に取って代わることが決定され、三里の渡しは廃止されることとなりました。この新しい街道の北側には、国道1号線が開通し、渡し舟の役割は過去のものとなりました。

三里の渡しの歴史は、その時代背景を映し出し、交通手段の変遷や地域の発展に大きな影響を与えてきたことがうかがえます。現在では直接的な利用はありませんが、かつての活気ある運行が人々の暮らしにどのように寄与していたのかを考えると、歴史的な価値は今なお色褪せることはありません。

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