三重県立大学

三重県立大学：その歴史と変遷

三重県立大学は、1950年に三重県津市に設立された公立大学です。しかし、その歴史は長くなく、1972年5月には国立の三重大学に統合されました。ここでは、三重県立大学の設立から統合までの経緯、そしてその後の変遷について詳しく見ていきましょう。

設立の背景

三重県立大学は、学制改革の際に、旧制三重県立医科大学（および前身の旧制三重県立医学専門学校）を母体とする医学部と、旧制私立三重水産専門学校の教職員が中心となって設立された水産学部からなりました。特に水産学部は、公立大学としては唯一の存在でした。

しかし、三重県は財政的に厳しく、研究費が国立大学に比べて乏しいという問題を抱えていました。医学部は四日市ぜんそくの研究で業績を上げていましたが、十分な研究環境とは言えませんでした。

国立移管への動き

1955年に田中覚が三重県知事に就任すると、三重県立大学の国立移管が進められることになりました。1968年頃から、校舎を国立三重大学の隣接地に移転し、1972年に三重大学医学部・水産学部（現・生物資源学部）として統合されました。

年表

1950年3月：三重県立大学設置認可
1950年4月：三重県立大学開学。医学部・水産学部（水産学科）を設置
1952年2月：新制医学部増設認可（4年制）
1954年4月：漁業学専攻科（1年制）を設置
1955年4月：医学部附属塩浜病院内に産業医学研究所を設置
1957年6月：財団法人三重県立大学後援会を設立
1967年11月：水産学部に漁業学科・水産製造学科・水産増殖学科の設置認可
1969年1月：水産学部、江戸橋（上浜）新校舎に移転
1970年12月：医学部、江戸橋（上浜）校舎に移転
1972年5月1日：国立三重大学医学部・水産学部設置
1975年3月：移管完了し、三重県立大学閉学

校地

開学当初は、旧制県立医大から引き継いだ校舎を使用していましたが、1969年1月に水産学部が、1970年12月には医学部が国立三重大学の隣接地にそれぞれ移転しました。

水産学部の旧大谷校地は、現在は三重県立美術館東の広場となっています。同校地に建設された旧図書館（アントニン・レーモンド設計）は、「レーモンドホール」と命名され、登録有形文化財として保存されています。

医学部の旧鳥居町校地は、三重県立看護大学となり、現在は三重県リサイクルセンターなどが設置されています。

附属病院

附属病院は、3つの病院に分かれていましたが、1962年6月に高茶屋分院を廃止し、本院に統合。1973年3月に本院は津市江戸橋の医学部校地に新築移転し、三重大学医学部附属病院となりました。塩浜病院は県立病院に復帰し、現在の三重県立総合医療センターとなっています。

歴代学長

初代：星野貞次（1950年4月 - 1961年3月）
第2代：渡邊篤（1961年4月 - 1967年3月）
第3代：石部修（1968年10月 - 1972年9月）
* 第4代：高崎浩（1972年10月 - 1975年3月）

まとめ

三重県立大学は、短い歴史の中で、医学部と水産学部という特色ある学部を擁し、地域医療や水産業の発展に貢献しました。国立移管という形でその歴史を終えましたが、その精神は三重大学に引き継がれ、現在も地域社会に貢献し続けています。

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