三重県立尾鷲高等学校長島校

三重県立尾鷲高等学校長島校：地域とともに歩んだ高校の歴史

三重県北牟婁郡紀北町に存在した三重県立尾鷲高等学校長島校は、地域住民の熱意から誕生し、多くの生徒を送り出した公立高校でした。尾鷲高等学校の分校として1948年に開校し、2010年に閉校するまでの歴史を紐解きながら、その軌跡をたどります。

開校の経緯：地域住民の強い願い

1948年、三重県議会議員や地元町長らの尽力により、地域に高等学校を設立しようという機運が高まりました。協議の結果、尾鷲高等学校の分校として誘致することが決定され、同年8月1日、夜間定時制課程の三重県尾鷲高等学校長島分校が開校しました。当初は二郷小学校の教室を借用して授業が行われていました。

全日制への移行：幾多の困難を乗り越えて

1950年には尾鷲高校から独立し、昼間部の募集を開始しました。しかし、1期生の卒業に際し、単位修得に関する問題が発生。この問題は、全日制課程設置運動へと発展し、三重県庁への陳情が何度も繰り返されました。県の承認を得るまでには多くの困難がありましたが、近隣町村の協力を得て、募金活動など地道な努力が実り、1954年には県立全日制の長島高校への移行が実現しました。

教育課程と学校生活

長島高校は普通科を中心に、家庭科（のちに福祉類型が設置）を設置していました。卒業生が作詞・作曲を手掛けた校歌や、国民体育大会出場など、活気あふれる学校生活の様子もうかがえます。紀北町立中学校3校との連携型中高一貫教育も実施し、地域社会に貢献する人材育成に努めました。

閉校とその後：新たな役割へ

2005年には尾鷲高等学校に再統合され、長島校となりました。その後、生徒募集を停止し、2010年3月31日に閉校しました。閉校後、校地は紀北町立紀北中学校の仮校舎として活用された後、現在は紀北町役場本庁舎として利用されています。長島高校の校地は、町の行政の中枢として、新たな役割を担っています。

著名な卒業生

長島高校からは、プロ野球選手やフリーアナウンサーなど、各界で活躍する卒業生を輩出しました。彼らの活躍は、長島高校が地域社会に貢献してきた証と言えるでしょう。

まとめ：地域に根ざした教育の象徴

三重県立尾鷲高等学校長島校は、地域住民の強い要望から生まれ、幾多の困難を乗り越えて発展しました。閉校後も、その歴史と功績は、地域の人々の記憶にしっかりと刻まれています。校歌や卒業生たちの活躍は、この高校が地域社会に深く根ざした教育機関であったことを示しています。そして、校地は新たな形で町の発展に貢献し続けています。この歴史は、教育の大切さ、そして地域住民の熱意と努力の結晶として、これからも語り継がれていくでしょう。

参考文献

* 『紀伊長島史』紀伊長島町史編さん委員会、昭和60年8月1日

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