上原和

上原和

上原和（うえはら かず、1924年12月30日 - 2017年2月9日）は、日本の著名な美術史家であり、成城大学の名誉教授として長年にわたり教鞭をとりました。彼の専門は美学と美術史にあり、その研究は多岐にわたります。

来歴と学問

上原和は日本領時代の台湾、台中市で生まれました。九州大学法文学部哲学科美学美術史専攻を卒業後、同大学院文学研究科でさらに研究を深めました。彼の学術的なキャリアは、宮崎大学学芸学部専任講師から始まり、その後、成城大学文芸学部に移り、専任講師、助教授、教授、そして文芸学部長、大学院文学研究科長を歴任しました。1995年に成城大学を定年退任し、名誉教授となりました。

研究内容

上原和の研究の中心は、日本の古代美術、特に玉虫厨子の研究でした。彼は玉虫厨子の創作年代を飛鳥時代であるとし、法隆寺はその基礎の上に建てられたという独自の説を提唱しました。この説は、美術史家の村田治郎らとの間で論争を引き起こしました。また、上原は西域からギリシャに至るまでの広範な地域の建築にも関心を寄せ、その知識と深い洞察を、詩的な筆致で文章に表現しました。

受賞と著作

上原和の業績は高く評価され、1975年には『斑鳩の白い道の上に』で亀井勝一郎賞を受賞しました。1992年には、『玉虫厨子 飛鳥・白鳳美術様式史論』で九州大学から文学博士号を授与されました。

主な著書には以下のようなものがあります。

『玉虫厨子の研究 飛鳥・白鳳美術様式史論』
『聖徳太子 再建法隆寺の謎』
『斑鳩の白い道のうえに 聖徳太子論』
『斑鳩の塔に雲流れて わが回想の聖徳太子』
『斑鳩・西の京』
『トロイア幻想 わが古代散歩』
『仏法東流』
『人間の美術 3 仏教の幻惑 飛鳥・白鳳時代』
『玉虫厨子 飛鳥・白鳳美術様式史論』
『大和古寺幻想 飛鳥・白鳳篇』
『世界史上の聖徳太子 東洋の愛と智慧』
『法隆寺を歩く』

これらの著作は、彼の幅広い知識と深い洞察力を示すものであり、多くの読者に感銘を与え続けています。

記念論集

上原和の古希を記念して、『上原和博士古稀記念美術史論集』が刊行されました。これは、彼の学問的な影響力の大きさを物語るものです。

上原和は、日本の美術史研究に多大な貢献をしただけでなく、その情熱的な姿勢と美しい文章で、多くの人々に美術の魅力を伝えた人物として、永く記憶されるでしょう。

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