上大須ダム
上大須ダムについて
上大須ダムは、岐阜県本巣市根尾地区、木曽川水系揖斐川の支流である根尾東谷川に建設されたダムです。高さ98メートルの中央土質遮水壁型ロックフィルダムで、中部電力の大規模揚水式水力発電所である奥美濃発電所の下池を形成しています。上池である川浦ダムとの間で水を往来させることで、6台の水車発電機を使い最大150万キロワットの電力を発生させる役割を担っています。
歴史
木曽川水系における電源開発は、木曽川本川を関西電力が、支流である飛騨川・長良川・揖斐川を中部電力が棲み分けながら実施していました。飛騨川流域の岩屋ダム建設が本格化し、「飛騨川流域一貫水力発電計画」が完了したかに見えましたが、中京圏の電力需要は増加し続け、特に夏季の電力需要は供給力の限界に近づいていました。この状況を打開するため、夜間の余剰電力を利用して貯水し、昼間の発電に備える揚水発電への期待が高まりました。
飛騨川はほぼ開発し尽くされており、未開発であった揖斐川流域と長良川流域が対象となりました。その中で根尾川源流部と板取川源流部が新規電源開発計画地点として注目され、奥美濃発電所計画が立案されました。この計画では、川浦ダムを上池、上大須ダムを下池とする揚水発電が計画されました。
事業は1976年から実施計画調査に入りましたが、川浦ダムについては下流の板取ダム計画に対する反対運動の影響で補償交渉が難航し、上大須ダムについても漁業協同組合との漁業権交渉が長引きました。奥美濃発電所は1994年7月に1号機・2号機が運転を開始、1995年3月に3号機・4号機、同年11月には5号機・6号機が完成し、運用を開始しています。
周辺環境
上大須ダムは、淡墨桜で知られる旧根尾村の中心部から更に山奥へ進んだ場所に位置しています。ダム周辺の本巣市は、平成の大合併で誕生した自治体であり、淡墨桜や根尾谷断層といった景勝地があります。また、秋には富有柿が特産品として販売され、多くの観光客が訪れます。
上大須ダムまでの道路は片側1車線で比較的整備されていますが、根尾村中心部から福井県大野市へ至る国道157号は道幅が狭く未整備の区間も存在します。特に岐阜・福井県境の温見峠は冬季は通行止めになります。ダムの見学は一般にも開放されており、湖畔の公園には奥美濃発電所の案内板や、建設中に殉職された作業員の方々の慰霊碑、発電所完成を記念した「竣工賦」が刻まれた石碑があります。湖を一周する湖岸道路は、災害により一部通行不能な箇所があります。
一方、上池である川浦ダムは、上大須ダムから右折してトンネルを抜けた場所にありますが、発電所関係者以外の立ち入りは制限されています。
参考文献
関連項目
外部リンク
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