上書

上書（じょうしょ）について

上書とは、臣下が主君や上官に意見を記した文書を提出する行為やその文書そのものを指します。別名として上表文、言上書、表勘文、上申書、建白書などがあります。この文書は主に権力者に対しての意見表明を目的としており、さまざまな歴史的背景の中で使用されてきた形態を持っています。

歴史的背景

上書の起源は、中国に由来しています。そこでは天子に対して臣下が意見や提言を文書で表明する文化が存在しました。日本においても江戸時代にこの制度が受け継がれ、主に主君や領主からの諮問に対して回答する形で用いられていました。この過程で、直訴と混同されることを避けるために、上書は特に厳密に取り扱われるようになりました。

特に江戸幕府時代、1721年には将軍徳川吉宗によって設置された目安箱が有名です。この箱は民衆や諸侯からの意見を吸収するためのものであり、さらに1853年には黒船来航を受けて、老中阿部正弘が意見を求めた事例が知られています。このように上書は、政治的状況や国民の声を反映する手段として重要な役割を果たしてきました。

明治維新と上書

明治維新後、日本政府も改革を進める中で、有益な意見を内外から得る姿勢をとり続けました。この時期、多くの上書や建白書が政府に提出され、その中には特に自由民権運動に関連したものも含まれています。例えば、民撰議院設立建白書や三大事件建白は、当時の自由民権運動の中で重要な位置を占めていました。

現代における上申書の役割

21世紀に入ってからの日本でも、上申書は依然として重要な役割を果たしています。現在では、登記申請や裁判所への申し立ての際に必要書類として添付される場合が多く、行政機関や会社の上司への申し立てや意見表明にも利用されています。例えば、2019年にはスピード違反に関するデマが広まり、上申書を提出することで摘発から逃れられるという誤解から、警察の出頭要請に応じなかった男性が逮捕される事例もありました。

さらに、地域住民の声を集めて訴えかける手段としても利用されることがあります。2013年には、沖縄県内の市町村代表が安倍首相に手渡した建白書が有名で、これは米軍普天間飛行場に対する撤回要求のものでした。この建白書は、超党派からの支持を受け、沖縄における基地問題に対する民意を伝える重要な文書とされ、国立公文書館に保存されることが決まりました。

まとめ

上書は、時代を超えて人々の意見を主君や上官に届ける手段として、重要な役割を果たしてきました。歴史的な背景から現代に至るまで、この文書形態は政治や社会問題への提言の方法として高い意義を持っています。

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