上本達之

上本 達之（うえもと たつゆき）

山口県宇部市出身の元プロ野球選手。1980年11月8日生まれ。右投げ左打ちで、現役時代は主に捕手や内野手としてプレーした。1学年下に嶋村一輝がいた宇部商業高校では主力選手として活躍し、第80回全国高等学校野球選手権大会に出場。この大会では2回戦でサヨナラボークによる惜敗を経験している。高校卒業後は協和発酵に進み、チームの11年ぶりの都市対抗野球出場に貢献した。

2002年11月20日に行われたプロ野球ドラフト会議において、西武ライオンズから6巡目で指名を受け入団した。

西武ライオンズ時代

プロ入り1年目の2003年にはフレッシュオールスターゲームに出場するなど期待を集めた。入団3年目の2005年に一軍へ初めて昇格。同年8月18日の千葉ロッテマリーンズ戦で代打として公式戦に初出場を果たしたが、この年は7打席すべて無安打に終わった。

2006年7月15日のロッテ戦で、7番・一塁手としてプロ入り初の先発出場を果たし、薮田安彦投手からプロ初安打を放った。

2007年は開幕前のキャンプで主力組に加わったが、シーズン序盤は出場機会に恵まれなかった。しかし、6月に一軍に昇格すると、同月30日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦で代打として起用され、プロ初打点を記録。その後は主に一塁の守備要員や左の代打、緊急時の控え捕手としてチームを支えた。この年、打率は.188に終わった。

2008年には自身初の開幕一軍入りを果たしたが、シーズン途中の6月、所沢市内の銀行ATMで現金を置き引きした窃盗容疑で書類送検されたことが球団から発表され、二軍へ降格。波乱の一年となった。日本シリーズでは40人枠に登録され、正捕手の負傷もありベンチ入りも果たしたが、出場機会はなかった。アジアシリーズでは全試合ベンチ入りし、中国・天津ライオンズ戦では途中から指名打者として出場した。

2009年は捕手としての出場機会が増加。5月23日に初めて捕手として一軍で先発マスクをかぶった。7月5日の楽天戦で青山浩二投手からプロ初本塁打を放つと、7月8日の北海道日本ハムファイターズ戦では、当時球界のエースだったダルビッシュ有投手から代打で出場し、2試合連続となる逆転2点本塁打を記録する印象的な一打を見せた。この年、モデルの秋山まいさんと結婚。捕手として37試合に出場し、無失策・1捕逸と安定した守備を見せた。右投手先発時は一塁手や指名打者、また左の代打として起用され、チームの第3捕手としての地位を確立。打撃でも打率.257、4本塁打、15打点を記録し、両リーグ最多となる代打本塁打3本を放った。8月22日のロッテ戦では、ブライアン・シコースキー投手からプロ入り初のサヨナラ適時内野安打を放っている。

2010年は正捕手の座は細川亨に譲ったものの、打撃力を期待され、相手が右投手の場合は外野手としてスタメン出場する機会もあった。また、試合終盤に細川の代打として起用され、そのまま守備に就くケースも多く見られた。チームが捕手2人体制となってからは控え捕手としての待機が増えたが、7月下旬からはスタメン捕手として出場する機会も増加。自己最多となる91試合に出場し、8月29日の楽天戦では小山伸一郎投手からプロ入り初となる逆転サヨナラ3点本塁打を放ち、再び勝負強さを見せた。代打としてはリーグ最多の41回起用され、打率4割という高い成功率を残した。

2011年はシーズン序盤から打撃不振に陥り、6月に登録を抹消された。再登録後も代打起用が中心だったが、8月13日のオリックス・バファローズ戦で先発出場し、ベテラン西口文也投手を好リードしたことが転機となる。以降、西口投手が先発する試合ではすべて上本がマスクをかぶり、西口投手の7勝1敗、防御率2.07という好成績を支えた。9月4日の福岡ソフトバンクホークス戦ではプロ入り初の満塁本塁打を記録している。

2012年は74試合に出場し、27安打は2010年に次ぐ自身2番目の記録となった。

2013年は出場機会が減少し、42試合の出場にとどまり、2009年以降で最も少ない出場数となった。

2014年も前年より出場試合数を減らした。このシーズンは捕手以外のポジションに就くことがなく、これは2005年以来9年ぶりのことだった。

2016年は開幕を一軍で迎える。7月29日のオリックス戦で2013年以来3年ぶりとなる本塁打を放った。7月14日には国内FA権を取得。この年はファーストも守り、左の代打としても一軍に帯同。キャリア初となる打率3割を記録し、再び存在感を示した。

2017年も開幕一軍入りを果たしたが、出場機会に恵まれず、8月には登録抹消。この年の一軍出場は11試合に終わり、10月6日に球団から戦力外通告を受けた。同月20日、任意引退選手として公示され、現役生活に終止符を打った。

引退後

現役引退後もチームに貢献。2017年10月21日にはブルペン捕手としてチームに残留することが発表された。2020年シーズンからは二軍育成コーチに就任し、指導者としてのキャリアをスタート。2021年には二軍打撃コーチに配置転換された。2022年シーズンをもってコーチ契約を終え、チームスタッフとして球団に残った。2023年からはスコアラーとして一軍に帯同し、2024年からは中国地方担当のスカウトに就任。選手の獲得を目指し、全国を飛び回っている。

プロ野球選手として、捕手と内野手を高いレベルでこなし、特に代打や終盤の勝負どころで存在感を発揮した。サヨナラ打やサヨナラ本塁打、西口文也投手との相性の良さなどが記憶に残る。引退後もさまざまな立場でライオンズを支え続けている。

主な記録

初出場：2005年8月18日 対ロッテ戦（インボイスSEIBUドーム）
初先発出場：2006年7月15日 対ロッテ戦（千葉マリンスタジアム）
初安打：同上（対ロッテ戦）
初打点：2007年6月30日 対楽天戦（グッドウィルドーム）
初本塁打：2009年7月5日 対楽天戦（クリネックススタジアム宮城）
初盗塁：2010年8月15日 対オリックス戦（西武ドーム）

背番号

49（2003年 - 2017年）
97（2018年 - 2019年）※ブルペン捕手
* 88（2020年 - ）※コーチ以降

登場曲

レミオロメン「スタンドバイミー」、聖飢魔II「蠟人形の館」、串田アキラ「キン肉マンGo Fight!」、THE BLUE HEARTS|THE_BLUE_HEARTS「リンダリンダ」、布袋寅泰「スリル」、サザンオールスターズ「栄光の男」などを使用。

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