上杉吉憲

上杉吉憲：米沢藩を支えた五代藩主

上杉吉憲（うえすぎ よしのり）は、江戸時代中期に活躍した出羽国米沢藩の第五代藩主であり、山内上杉家第二十一代当主です。貞享元年（1684年）に四代藩主・上杉綱憲の庶長子として生まれ、藩主の座を継ぎました。

生涯

吉憲は、父・綱憲と正室・栄姫の間に生まれた嫡子ではありませんでしたが、栄姫の養子となり、世子として育てられました。元禄11年（1698年）には元服し、第五代将軍・徳川綱吉から偏諱を受け、吉憲と名乗るようになります。元禄16年（1703年）に父の隠居に伴い家督を継承しました。

藩主となった吉憲は、幕府から江戸城の石垣普請を命じられるなど、多忙な日々を送ります。宝永2年（1705年）には米沢に初めて入部し、片山元僑を藩に招いて文化の振興にも尽力しました。しかし、相次ぐ普請手伝いにより藩財政は悪化の一途を辿り、参勤交代の費用にすら事欠く状況に陥ります。藩士の俸禄や人別銭を徴収して路費に充てるなど、苦しい財政運営を強いられました。

また、享保4年（1719年）には弟の勝周に1万石を分与し、米沢新田藩を立藩させました。これは、藩の統治体制を強化する狙いがあったと考えられます。

享保7年（1722年）、吉憲は39歳という若さでこの世を去りました。跡を長男の宗憲が継ぎ、米沢藩の第六代藩主となりました。墓所は米沢市にあります。

人物・逸話

吉憲は、藩財政の窮乏に苦しみながらも、藩士の生活を第一に考え、様々な政策を実行しました。質素倹約を奨励し、無駄な出費を抑える一方で、学問や武芸の奨励にも力を入れ、藩士の能力向上を図りました。

系譜

父：上杉綱憲
母：茨木氏
養母：栄姫（徳川光貞の娘）
婚約者：久姫（黒田綱政の娘）、鍋島綱茂の娘、鍋島吉茂の養女
側室：山中氏、山本氏
長男：上杉宗憲（米沢藩6代藩主）
次男：上杉宗房（米沢藩7代藩主）
三男：畠山義紀（畠山義躬の養子）
四男：上杉重定（米沢藩8代藩主）

演じた俳優

池田秀一（「大忠臣蔵」、1971年、NET）
長谷川哲夫（「水戸黄門 第11部」、1980年、TBS）
峰蘭太郎（「暴れん坊将軍II」第70話、1984年、テレビ朝日）
石原良純（「水戸黄門 第24部」、1996年、TBS）

まとめ

上杉吉憲は、米沢藩の財政難という困難な状況に直面しながらも、藩政の維持と立て直しに尽力しました。その功績は、米沢藩の歴史において重要な位置を占めています。

参考資料

『上杉吉憲』 - コトバンク

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