上杉憲英

上杉憲英：庁鼻和上杉家初代当主の生涯

上杉憲英（うえすぎ のりふさ）は、南北朝時代から室町時代にかけての激動の時代を生きた武士であり、庁鼻和上杉家の初代当主として知られています。彼は武蔵国、現在の埼玉県深谷市周辺を拠点とする庁鼻和城の城主でした。

生涯

上杉憲英は、上杉憲顕の六男として生まれました。母は木戸氏と伝えられています。康応年間に、現在の深谷市近郊に庁鼻和城を築城し、この地名を冠した庁鼻和上杉家を創始しました。また、城内には国済寺を創建し、地域の精神的な支柱としての役割も担いました。

憲英は、武蔵平一揆や新田義宗・脇屋義治の反乱といった、当時の社会情勢を反映した動乱の鎮圧に尽力しました。明徳3年（1392年）に奥羽地方が鎌倉府の管轄に移されると、奥州管領に任じられ、嫡男である憲光とともに奥州の統治に当たりました。

しかし、上杉家内部での権力闘争にも巻き込まれます。父の死後、弟の憲栄が越後守護職を継承することに異議を唱えましたが、最終的には敗れています。

子孫

憲英の血筋は、後に上杉房憲によって深谷城が築かれ、深谷上杉家として名を残すことになります。しかし、戦国時代中期には後北条氏の勢力下に置かれ、氏憲の代には所領を失うという憂き目に遭いました。

上杉憲英は、激動の時代を生き抜き、地域社会に深く根ざした武将でした。彼の築いた庁鼻和上杉家は、後の時代に様々な変遷を経験しながらも、その名を歴史に刻んでいます。

参考文献

黒田基樹 編『足利氏満とその時代』戎光祥出版〈関東足利氏の歴史第2巻〉、2014年。ISBN 978-4-86403-106-6。
黒田基樹 編『関東上杉氏一族』戒光祥出版〈シリーズ・中世関東武士の研究 第二二巻〉、2018年。ISBN 978-4-86403-269-8。
山口平八「深谷上杉氏の興亡と深谷城の創築と開城」。 /初出:『深谷市史』深谷市、1969年。第5篇第16章。
持田勉「深谷（庁鼻谷上杉氏）-深谷上杉氏の系譜-」。 /初出:『埼玉史談』243号、1995年。

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