深谷上杉家

深谷上杉家（ふかやうえすぎけ）

深谷上杉家は、室町時代に関東地方に割拠した上杉氏の傍流の一つです。その起源は、山内上杉家の上杉憲顕の実子である上杉憲英が、庁鼻和上杉（こばなわうえすぎ）を名乗ったことに遡ります。憲英の曾孫の代である房憲の時代から、深谷上杉家と称するようになりました。

歴史

室町時代から戦国時代

上杉憲英・憲光父子は、足利幕府から奥州管領に任じられるなど、幕府内でも重要な地位を占めていました。一時は扇谷上杉家と共に武蔵国で勢力を二分していましたが、扇谷上杉家の上杉朝定が北条氏康に敗れて滅亡すると、後北条氏の勢力が武蔵国へと拡大。深谷上杉家は、憲英から数えて7代目の当主である憲盛の代に、後北条氏に降伏しました。

後北条氏の傘下から没落へ

以後は後北条氏の傘下として存続することになります。しかし、憲盛の長男である氏憲の代に、豊臣秀吉による小田原征伐で後北条氏が敗北すると、深谷上杉家は所領を没収されて没落しました。氏憲は、子息である憲俊と共に信州へ隠居。しかし、憲俊は後に池田輝政に見出され、岡山藩士として取り立てられました。

江戸時代以降

一方、憲盛の次男である吉次の子孫は江戸幕府に仕え、5百石の旗本として存続しました（深谷氏）。

幕末には、上杉盛房（深谷盛房）という人物が現れます。彼は30歳で小納戸役に任じられ、その後も順調に出世を重ね、二の丸留守居役、京都町奉行を歴任。1837年（天保8年）には66歳で勘定奉行、1844年（弘化元年）には73歳で旗本最高の役職である大目付（役高3000石）に昇進しました。1854年（安政元年）には87歳という高齢になるまで大目付を務め上げました。

また、盛房は海防掛も兼任しており、1853年7月（嘉永6年）のペリー来航、いわゆる「黒船来航」の際の幕閣会議にも86歳という高齢で参加し、穏便に済ませる案を提示したとされています。

支流・家臣

深谷上杉家の庶流には、深谷氏、久保田氏、小久保氏、久下氏、市田氏などがいます。また、代表的な家臣としては、岡谷氏、秋元氏、井草氏、上原氏などが挙げられます。

歴代当主

1. 上杉憲英
2. 上杉憲光
3. 上杉憲長
4. 上杉憲信
5. 上杉房憲
6. 上杉憲清
7. 上杉憲賢
8. 上杉憲盛
9. 上杉氏憲
10. 上杉憲俊

主要拠点

深谷城
庁鼻和城

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