上杉重能

上杉重能の生涯

上杉重能（うえすぎ しげよし）は、鎌倉時代末から南北朝時代にかけての武士です。彼は足利尊氏・直義の従兄弟という血筋を持ち、その生涯には数々の歴史的な出来事が含まれています。

幼少期と家柄

重能は勧修寺道宏の子として生まれますが、後に母である加賀局の兄弟、つまり上杉重顕と憲房の養子となります。この養子縁組により、彼は上杉家の一員として成長し、当時の武士社会において重要な役割を果たすことになります。

建武政権とその後

建武政権の下、重能は関東廂番六番の一員として鎌倉に下向します。歴史書『太平記』によれば、彼は竹の下合戦において、足利尊氏が出陣するのを躊躇っていた際に、偽の綸旨を作成し、それをもとに尊氏を戦へと駆り立てたエピソードがあります。重能はその後、九州落ちにも同行し、彼の活動は多岐にわたります。

室町幕府の成立後、重能は伊豆国の守護に任命されます。しかし、彼の運命はそう簡単ではなく、延元3年（1338年）には出仕停止命令を受けることになりました。この間、彼は直義の執事としての役割を果たしていましたが、高師直らとの対立を避けることはできませんでした。重能は畠山直宗と共に師直の排斥を試みるものの、この試みに関しては成功しませんでした。

配流と死

正平4年（1349年）、重能は師直の御所巻による交渉の結果、越前国に追放されます。配流先で彼は12月に百騎ほどの軍勢を引き連れて越前国足羽荘に没落し、そこで命を落とします。その死は『常楽記』にも記されており、彼の運命の悲劇が浮き彫りとなっています。

家族と後世への影響

重能は義兄弟である上杉憲顕の子、能憲を養子にし、また同じく義兄弟の上杉重行の子、重季を養子にしたとされています。従来の通説では重季は「顕能」と呼ばれてきましたが、実際の記録によれば彼の名前は「重季」であり、顕能は重能の実子として早世した名と考えられています。このように、重能の血を引く家系は後に宅間上杉氏と呼ばれるようになります。

結論

上杉重能の生涯は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての武士たちの複雑な関係と、戦乱の時代における個々の運命を象徴しています。彼の足跡は後世にわたり語り継がれ、この時代の歴史を理解する上で重要なテーマとなっています。

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