上海海軍特別陸戦隊

上海海軍特別陸戦隊

上海海軍特別陸戦隊（略称：上陸）は、大日本帝国海軍が中国上海に権益保護のために設置した陸上部隊です。この部隊は、特に第一次および第二次上海事変において、深刻な市街戦を展開しました。1932年に設立され、以降日本海軍における唯一の常設の陸上戦闘部隊として機能しました。

沿革

設立背景

20世紀初頭、日本は他の列強と同様に上海の共同租界に多くの居留民を抱えていました。彼らの権益を守るため、大日本帝国は第一遣外艦隊を上海に駐留させましたが、当初は地上部隊を常駐させることはありませんでした。必要に応じて、艦隊の乗員から構成された陸戦隊を上陸させるのが原則であり、さらに十分な部隊が必要な場合には日本本土から特別陸戦隊などが派遣されていました。

しかし、1920年代半ばからは中国の軍閥間抗争の影響で上海周辺の情勢が不安定化し、常設の地上部隊の必要性が高まるようになりました。特に1927年の国民党軍による北伐が勃発すると状況はさらに深刻となり、呉鎮守府から特別陸戦隊が派遣されることになりました。

上海駐留の形成

1927年、上海に派遣された陸戦隊の人数は次第に増加し、イギリスやアメリカ、フランスの軍隊と共に警備任務に就きました。その後、上海周辺の情勢が安定した際、派遣された部隊は日本本土に撤収しました。その後も警備を強化する必要があるとして、特別陸戦隊は上海陸戦隊として残されました。

1932年には第一次上海事変が発生し、上海陸戦隊は中国十九路軍と激闘を繰り広げます。特別陸戦隊の兵力は1800人に達し、一時的に海軍の第三艦隊に編入されました。

常設化とその後

第一次上海事変の終息後、上海に特別陸戦隊を常駐させる必要性が高まったことから、1932年に「海軍特別陸戦隊令」が制定され、独立した常設部隊として昇格しました。編制としては約2000名の部隊で構成され、以降も日本の軍事行動において重要な役割を担っていきます。

第二次上海事変発生後、部隊は再び中国軍と戦闘を繰り返しました。日本の陸軍との協力体制の下、華中方面での警備任務や揚子江遡江作戦などに参加し続けました。また、太平洋戦争中も持続的に活動を行い、終戦までの間、特別陸戦隊はその機能を維持しました。

終焉

1945年の日本降伏とともに、上海特別陸戦隊は中国国民党軍によって武装解除され、部隊自体は廃止されました。長い歴史の中で、上海海軍特別陸戦隊は日本帝国海軍の代表的な地上戦力として位置づけられていました。

編制・装備

部隊の編制は時期により変動し、日本本土からの増援も得られる仕組みでした。特に市街戦の経験を生かし、装甲車両や機関銃を装備していました。1945年の時点では、士官や下[[士官]]を含む約4000人以上の人員を有し、多様な兵器を保有していました。これは日本海軍における陸戦部隊の重要な一環として機能したことを示しています。

史跡

上海海軍特別陸戦隊本部の跡地である虹口区のビルは現在も残っており、歴史の証人となる場所として存在しています。長年にわたり雑居ビルとして利用されていましたが、近年では空きテナントが目立つ状況になっています。

このように、上海海軍特別陸戦隊は日本の軍事史の一部として重要な役割を果たし、其の後の地域情勢に影響を与えた部隊であったと言えるでしょう。

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