上甑町桑之浦

上甑町桑之浦について

鹿児島県薩摩川内市に位置する上甑町桑之浦は、甑島列島に属する上甑島の北西部に位置する地域です。かつては上甑村の大字でしたが、市町村合併を経て現在の形となりました。人口は34人、世帯数は22世帯（2020年10月1日現在）と小規模な集落ですが、その歴史と自然は深く豊かなものがあります。

地理

桑之浦は、上甑島の北西端から突き出した半島状の地形をしており、西側は断崖が連なっています。東側には浦内湾が広がり、北から西にかけては東シナ海に面しています。集落は浦内湾の奥にある桑之浦港付近に集中しており、天然の入り江を利用した港は比較的遠浅で、真珠の養殖が行われています。

集落を起点として、鹿児島県道348号桑之浦里港線が北東方向に伸びています。また、野町には宇佐八幡神社があり、創建年代は不明ですが、落人の中村但馬某によって勧請されたと伝えられています。神社の跡からは弥生式土器が発見されており、この地が古くから人が住んでいた場所であることがわかります。北部の舟見山には、舟見山牧場が広がっています。桑之浦集落付近の雑木林では、キイレツチトリモチが少量ながら確認されており、ネズミモチに寄生している様子が見られます。

地名の由来

「上甑村郷土誌」によれば、桑之浦の地名の由来は不明確ですが、かつてこの地に桑の木が多かったことに由来するのではないかと推測されています。

自然公園・自然保護地区

桑之浦のほぼ全域は、2015年3月16日に指定された甑島国定公園に含まれています。特に一部は特別地域に、海域の一部は「上甑島西海岸及び長目の浜海域公園地区」に指定され、豊かな自然が保護されています。

山岳・島嶼・岩礁

桑之浦半島の中央には、標高306mの縄瀬山があります。また、海岸線には特徴的な岩礁が点在しており、唐船ガトモ（唐船の船尾に似た岩）やチキリ（竿秤の重りに似た瀬）などが知られています。

小字

桑之浦には、揚倉、辰丸、赤生木、野町、村之上、宮之上、芹段、山之神、住吉之元、狩底、西山といった小字が存在します。

歴史

桑之浦の歴史は古く、弥生時代後期の土器が発見されており、古くから人が定住していたことがわかります。特に桑之浦遺跡からは、縄文時代から古墳時代にかけて、本土文化の影響を受けながらも独自の文化圏を形成していたことが伺えます。

江戸時代には桑之浦村として薩摩藩の支配下にあり、伊能忠敬の記録には家数35と記載されています。明治時代になると、町村制の施行により上甑村の大字「桑之浦」となりました。戦後には、漁業の発展とともに人口が増加しましたが、その後減少傾向にあります。

昭和40年代には、草地開発事業により舟見山牧場が整備され、地域振興に貢献しました。平成16年には市町村合併により薩摩川内市の一部となり、大字名が「上甑町桑之浦」に改称されました。

施設

桑之浦には、住民センター、宇佐八幡神社、舟見山牧場などの施設があります。かつては上甑村立宇佐小学校がありましたが、現在は浦内小学校に統合されています。

人口

1995年以降、桑之浦の人口は減少傾向にあります。

教育

かつては宇佐小学校がありましたが、1968年に浦内小学校に統合され、現在は閉校しています。

交通

桑之浦と瀬上間の道路は、かつては山道や水田の畔道を通るルートでしたが、1966年に自動車が通行可能な道路が開通しました。県道桑之浦里港線が主要な道路であり、コミュニティバス「甑かのこゆりバス」も運行しています。桑之浦には、桑之浦港があり、薩摩川内市が管理しています。

道路

鹿児島県道348号桑之浦里港線

バス

甑かのこゆりバス
浦内・江石線
桑之浦バス停

港湾

* 桑之浦港

まとめ

上甑町桑之浦は、甑島の自然と歴史を色濃く残す地域です。美しい海岸線、豊かな自然、そして歴史的な背景が、訪れる人々を魅了します。

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