上田万平 (内務官僚)

上田万平：内務官僚から実業家へ

上田万平（1880年10月4日 - 1935年7月8日）は、明治から昭和初期にかけて活躍した日本の内務官僚、実業家です。熊本県天草郡高浜村（現・天草市）に生まれ、第五高等学校、東京帝国大学法科大学を卒業後、内務省に入省しました。官僚としては、北海道庁を皮切りに、香川県、静岡県、京都府、大阪府などの内務部で要職を歴任しました。

岐阜県知事としての功績

1921年5月、上田は岐阜県知事に就任します。在任中は、木曽川、長良川、揖斐川の三大河川上流改修、県庁舎新築、陶磁器試験場の設置など、県政の発展に大きく貢献しました。また、自作農奨励資金制度を創設し、農民の生活向上にも尽力。さらに、郡制廃止という大きな変革期において、県政を円滑に進めました。

宮城県知事としての活躍

1924年6月には、宮城県知事に転任。東北振興第一期総合計画を推進し、地域の発展に貢献しました。しかし、1926年12月に知事を辞職、官界を退いています。

実業家としての手腕

退官後、上田は実業界に転身し、1927年9月には郷里の熊本電気株式会社の第4代社長に就任しました。積極的な経営戦略を展開し、県外進出を推進。鹿児島県の鹿児島電気、熊本南部の球磨川電気、大分県の竹田水電など、多くの電力会社を傘下に収め、経営手腕を発揮しました。1929年4月には球磨川電気の社長も兼任しています。さらに、熊本電気系列の熊本保全や九州電力（旧・大淀川水力電気）でも社長を務め、地域経済の発展に大きく貢献しました。

突然の死

しかし、1935年7月8日、上田は出社中に凶漢に襲われ、急逝するという悲劇に見舞われました。享年57歳。その突然の死は、多くの人々に衝撃を与えました。

上田万平の足跡

上田万平は、内務官僚として地方行政に貢献し、実業家としては電力業界の発展に尽力しました。彼の業績は、今日でも多くの人々に語り継がれています。

栄典

1904年（明治37年）12月27日 - 勲四等瑞宝章

親族

妻：上田愛子（押川則吉の娘）

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
『昭和物故人名録 : 昭和元年～54年』日外アソシエーツ、1983年。
人事興信所編『人事興信録』第10版 上、1934年。
* 九州電力 編『九州地方電気事業史』九州電力、2007年。

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