上田薫 (教育学者)

上田 薫（うえだ かおる）

上田薫は、1920年5月17日に大阪府で生まれ、2019年10月1日に99歳で亡くなった日本の著名な教育学者です。彼は教育に対する深い理解を持ち、長きにわたり教育現場での実践を重視してきました。彼は東京教育大学、立教大学、都留文科大学での教職を務め、特に社会科教育の分野において重要な役割を果たしました。さらに「社会科の初志をつらぬく会」の名誉会長も務めました。

生い立ちと教育背景

上田は兵庫県の旧制中学校からスタートし、旧制武蔵高等学校を経て京都帝国大学の文学部哲学科に入学しました。しかし、1943年に仮卒業となり、学徒として南京に派遣され、その後国民党軍の捕虜となりました。1946年に帰国した後、文部省に入省し、日本の教育方針の改革に関わる重要な役割を果たしました。

特に彼は小学校社会科の教科書や指導要領の作成に尽力し、道徳教育の推進にも力を入れました。教育指導のスタイルは、常に現場の実践に基づいており、その影響で多くの後進の教育者に影響を与えました。

教員生活と研究

1951年9月からは名古屋大学教育学部、東京教育大学教育学部、立教大学文学部で教員として活躍し、最終的には都留文科大学の学長に就任しました。彼は信濃教育会教育研究所の所長も兼任し、教育哲学や教育方法学の研究を続けました。彼の同窓生によると、小柄でおとなしい印象を持つ一方で、ゴム毬野球の名手でした。

教育への貢献

上田の著書は教育界での指針として多くの教育者に読まれています。彼の代表作には、『教育をゆがめるものはなにか』や『人間の生きている授業』、また『人間その光と影』などがあります。彼の思想は常に人間の本質に迫り、人間性を育む教育の重要性を訴えてきました。教育現場の実践を重視する彼の姿勢は、教育の現場における実践的な課題を掘り下げ、それに対する解決策を提案するものでもありました。

家族と影響

上田は哲学者西田幾多郎の孫にあたります。彼の教育思想には、家庭環境が大きな影響を与えたと考えられます。彼の義父にあたる千輪浩や妻の春野も、彼の教育活動を支える重要なパートナーでした。彼の哲学的背景は、教育に対する深い理解と情熱を育む要因となっていました。

最後の日々

上田薫は、老衰をもって2019年にその生涯を閉じましたが、その教育に対する情熱や彼が培った思想は、今なお多くの教育者や学生に受け継がれています。彼の教えや著作は、教育界における重要な資産として、未来にわたって学び続けられることでしょう。

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