上甲正典

上甲 正典の軌跡

上甲正典（じょうこうまさのり、1947年6月24日生まれ）は、日本の著名な高校野球指導者で、愛媛県における高校野球界に多大な影響を与えた存在です。1947年、愛媛県北宇和郡三間町（現在の宇和島市）に生まれた上甲氏は、宇和島東高等学校で三塁手として活躍しましたが、甲子園への出場経験はありませんでした。

彼はその後、龍谷大学に進学し、文学部社会学科で学びました。在学中は4年間ベンチ入りしたものの、リーグ戦での出場はわずか8試合にとどまりました。卒業後は京都の三和金属に就職しましたが、職を求めて愛媛に戻り、製薬会社で働くことになります。その傍ら、薬種商としての勉強を続け、後に薬店を開業しました。

1975年、宇和島東高の野球部長に就任し、2年後には監督に昇格します。彼の指導のもと、1987年には第69回全国高等学校野球選手権大会にて甲子園初出場を果たし、次年度の春にはセンバツ初出場で初優勝という快挙を達成しました。その後、1997年から1999年にかけて愛媛大会での3連覇を成し遂げ、三年連続で夏の甲子園へ出場を果たしました。

しかし、2001年には妻を癌で失い、その悲しみが影響し、宇和島東の監督を辞任しました。上甲氏は、その後済美高等学校の事務職員としての道を歩むことになります。彼が監督を務めることになった済美高校でも、その指導力が遺憾なく発揮され、2004年の第76回選抜高等学校野球大会では、創部3年目でセンバツ初出場及び初優勝を果たしました。甲子園で2校を優勝に導く監督となり、同様の偉業を成し遂げたのは原貢、木内幸男に次いで3人目となります。

2004年の夏の選手権大会では、決勝戦まで進出しますが、駒大苫小牧高校に敗れ、準優勝に終わりました。その後も済美高校は成長を遂げ、2008年には第90回全国高等学校野球選手権記念大会に出場しますが、初戦で敗退しました。さらに、2013年には愛媛大会で157キロを記録したエース安樂智大を擁し、第85回選抜高等学校野球大会に出場。決勝まで進出しましたが、浦和学院高校に大敗を喫し、優勝はならず。この時期には球数の問題から登板過多が指摘されることもありました。

2014年の夏、愛媛大会で最終的に敗北を喫し、甲子園出場は果たせなくなりました。この試合が監督としての最後の采配となりました。晩年は体調を崩し、入院生活を余儀なくされる中、2014年9月2日に胆道がんにより亡くなりました。享年67歳。彼の死の直前、教え子や強豪校の監督との会話が交わされたことも記憶に新しく、多くの教え子たちに影響を与え続けました。

上甲正典の指導により、数多くの選手がプロの道へ進み、彼の教えは今も色あせることなく語り継がれています。そのレガシーは今の高校野球界においても重要な存在として認識されています。

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