上矢作町

上矢作町（かみやはぎちょう）

上矢作町は、かつて岐阜県恵那郡に存在した町です。2004年10月25日に周辺自治体との合併により恵那市となり、自治体としての歴史を終えました。現在は恵那市の一部として、その名を残しています。

地理

上矢作町は、岐阜県の南東端、恵那市の南東部に位置し、長野県と愛知県に接しています。美濃三河高原に属しており、北部の焼山などは木曽山脈の延長にあたります。町域の95%が山林で占められ、人工林の割合も高いことが特徴です。かつては林業が基幹産業として栄えましたが、現在は衰退が進み、過疎化が深刻化しています。

夏は冷涼で過ごしやすく、冬は乾燥した寒さが厳しい気候です。町内には地名の由来ともなっている矢作川の支流が流れ、愛知県境で本流と合流します。集落は、主に谷底の小さな河成段丘に形成されています。

主な山岳

焼山
三森山
三国山

主な河川

矢作川
上村川

大字・字

上矢作町は、複数の大字と多数の字で構成されていました。

大字：なし（旧・上村）

字：木地山、室澤、磯澤、上の平、やげ、中畷、はね、下川原、山ぐろ、清水、上貝戸、万場、上足澤、下足澤、川向、大平、大倉、佛供田、下垣外、田子澤、中越、奥達原、達原、中新田、高井戸、東畑、川原島、大門、竹の上、紙屋、辻見堂、古瀬、西の澤、平井、新市場、中島、城山、上村山、間野、中の平、上宇連、下宇連、岩名澤、乙澤、茗荷久保、萩原、琴ケ澤、鎌瀬、大久保、和田、紺屋井戸、釜ケ澤、上本郷、下本郷、根山、大畑、よよ洞、阿寺、はばらき、兼定、おんの久保、中根、山城、下廣表、上廣表、高平、本地、末廣、陣屋洞、西洞、番内、坂下、坊主洞、田中、雉子洞、服部平、青なぎ、東石洞、西石洞、長根、上市の瀬、下市の瀬、板取久保、西石洞、崩澤、麻畑ケ根、向井戸、下田

大字：下

字：平岩、柳ケ瀬、澄ケ瀬、北澄ケ瀬、千町、西千町、水邊、島、桑原、上廣見、中廣見、下廣見、羽根、宮本、谷下、大澤、裏山、丸山、上久呂瀬、中久呂瀬、下久呂瀬、市場、牧、山室、篁、増澤、松根、小御所、深澤、門野

大字：漆原

字：横吹、松下、本郷、阿寺、峯、井澤、柿平、大馬渡、西三作、東三作、高井澤、越澤

大字：小田子

字：中屋、大地、久武瀬、田代、羽根、大平下、門野、まぜぐち、清水、乙原

歴史

中世

平安時代から戦国時代末期にかけて、この地域は恵那郡遠山荘の一部であり、岩村城を本拠地とする地頭の遠山氏の領地でした。1554年には遠山氏が武田氏に臣従し、武田信玄は伊那の下条信氏に恵那郡上村を与えました。1572年には、武田軍が岩村城を攻撃するために上村に侵攻し、遠山氏との間で上村合戦が起こりました。

1586年には、美濃国を震源とする天正大地震が発生し、達原字荒で大規模な山体崩落が発生、上村川が堰き止められて天然ダム湖が形成されました。現在の上矢作町達原に「海」という地名が残っているのは、この時の名残です。

近世

江戸時代には、この地域は岩村藩の領地となりました。1721年には、上村川上流の平谷村で大洪水が発生し、達原の天然ダム湖が決壊し失われました。

近代・現代

1872年：上村、飯田洞村、木実村、達原村、島村、小笹原村、横道村が合併し、恵那郡上村が成立しました。
1889年：下村、漆原村、小田子村が合併し、恵那郡下原田村が成立しました。
1920年：矢作水力による下村発電所が運転を開始しました。
1956年：上村と下原田村が合併し、上矢作町が誕生しました。
1959年：伊勢湾台風により大きな被害を受けました。
2000年：恵南豪雨により、死者や家屋の全壊などの被害が発生し、一時は達原集落が孤立しました。
2004年：恵那市と周辺町村が合併し、新たに恵那市が発足、上矢作町は自治体としての歴史を閉じました。

教育

上矢作町には高等学校は存在しませんでした。岐阜県立の高校（普通科は東濃学区）のほか、隣接県特例で愛知県立田口高校稲武校舎への志願が可能でした（2008年3月閉校）。

小学校

上矢作町立上矢作小学校

中学校

上矢作町立上矢作中学校

2004年以前に廃校となった小中学校

上矢作町立上小学校（1992年廃校）
上矢作町立上小学校達原分校（1965年廃校）
上矢作町立下原田小学校（1992年廃校）
上矢作町立上中学校（1989年廃校）
上矢作町立下原田中学校（1989年廃校）

交通

上矢作町には鉄道が通っていませんでした。最寄りの鉄道駅は明知鉄道明知線の岩村駅です。

道路

国道257号
国道418号
岐阜県道・愛知県道20号瑞浪大野瀬線
岐阜県道33号瑞浪上矢作線
長野県道・愛知県道・岐阜県道101号月瀬上矢作線

名所・旧跡・観光スポット

大船神社：標高1060mの大船山にある神社。尾根沿いの参道の松並木は岐阜県指定天然記念物で、「日本名松百選」にも選ばれています。
熊野神社：祭礼では神輿がぶつかり合う「けんか神輿」が行われます。かつて境内には農村歌舞伎舞台の熊野会館がありました。
円頂寺：恵那三十三観音霊場15番札所です。
萬光寺：恵那三十三観音霊場14番札所です。
玉泉寺：恵那三十三観音霊場16番札所です。
道の駅上矢作ラ・フォーレ福寿の里
福寿の里モンゴル村
大平の福寿草自生地
新田の桜
達原渓谷
* 澄ヶ瀬簗

上矢作町は、豊かな自然と歴史、文化が息づく場所です。合併によりその名は消えましたが、その魅力は今もなお、多くの人々に愛されています。

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