上綱克彦

上綱克彦：音楽の道を切り開いた広島出身のキーボードプレイヤー

上綱克彦（かみつな かつひこ）は、1953年生まれ、広島県広島市南区宇品出身のミュージシャンであり、キーボードプレイヤーです。彼は作詞・作曲家、音楽プロデューサーとしても活動し、伝説的なバンド「柳ジョージ&レイニーウッド」の元リーダーとして知られています。

若き日の音楽への情熱

上綱は学生時代からバンド活動を始め、広島フォーク村に参加するなど、数々のコンテストに出場しました。崇徳高校卒業後も、地元の広島でディスコやキャバレーでの演奏を続け、その卓越した音楽センスを磨きました。この頃、浜田省吾と音楽仲間として出会い、互いに刺激し合いながら成長しました。彼の才能は広島県外にも知れ渡り、関西や関東のミュージシャンとのセッションを重ねる中で、1973年に崇徳高校の同級生である石井清登らと5人組バンド「メイフラワー」を結成しました。

柳ジョージ&レイニーウッドでの飛躍

1974年、上綱は広島でのギタークリニックに参加した柳ジョージと出会い、意気投合します。翌1975年、柳に誘われて上京し、「柳ジョージ&レイニーウッド」を結成。バンドリーダーが直前に抜けたため、上綱がリーダーを務めることになりました。R&Bをベースにした彼らの骨太なサウンドは、当時としては画期的であり、一部で高い評価を得ましたが、全編英語詞にこだわったため、当初は一般には受け入れられにくい状況でした。所属事務所やレコード会社が決まらず苦労した時期もありましたが、1977年にようやく契約が決まり、1978年2月にデビューアルバム『Time in Changes』をリリースしました。デビューまでの3年間、上綱はつのだひろ、山内テツ、クリエイションらのコンサートでキーボードを担当するなど、多岐にわたる活動を行いました。

バンドは地道な活動を続け、徐々に有名ミュージシャンからの支持を得て、コンサートツアーなどに参加するようになりました。1978年、萩原健一が主演したテレビドラマ『死人狩り』のテーマソングに、2枚目のアルバム『Weeping in the Rain』のタイトル曲が起用され、日本語歌詞に改められた「雨に泣いてる」が大ヒット。アルバムも大ヒットし、彼らは一躍トップバンドの仲間入りを果たしました。R&Bをベースにした大人のロックバンドとして、彼らは高い人気と評価を得て、1979年には4枚目のアルバム『RAINY WOOD AVENUE』がオリコンアルバムチャートで初登場1位を獲得しました。しかし、1981年末の日本武道館コンサートをもって、バンドは解散しました。

「ヘイ・ダーリン」、「プリズナー」、「青い瞳のステラ、1962年夏…」など、バンドの代表曲は上綱の作品です。

バンド解散後の活動

バンド解散後、上綱は一時「THE WOOD」というバンドで活動しましたが、まもなく解散。その後は甲斐バンドに参加したり、和田アキ子らに楽曲を提供するなど、作家、アレンジャー、音楽プロデューサーとして幅広く活動しました。以降も広島を拠点に音楽活動を続け、ファンが開設したホームページをきっかけに、「柳ジョージ&レイニーウッド」の再結成を望む声が高まりました。2005年4月には、横浜で1日限りの復活ライブが行われ、2008年7月にはフジロックフェスティバルにも出演しました。2011年10月に柳ジョージが亡くなった後も、レイニーウッドとして不定期に活動を続けています。

現在

現在、上綱は地元広島でライブ・カフェ「ジャイブ（Jive）」のオーナーを務めています。2024年7月12日には、マツダスタジアムで行われた広島東洋カープ対東京ヤクルトスワローズの試合前に、弾き語りで国歌斉唱を行いました。

上綱克彦は、その才能と情熱で、日本の音楽シーンに大きな足跡を残し続けています。

参考文献

ランナウェイ、柳ジョージ、集英社（1983年6月）
青い瞳のステラ、1962年 夏...／柳ジョージ＆レイニーウッド - 食卓ON楽

外部リンク

RAINYWOOD OFFICIAL SITE
LIVE Cafe Jive

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