上荘町

上荘町（かみそうちょう）

兵庫県加古川市の北西部に位置する上荘町は、市域の中でも自然豊かな一角を占める地域です。かつては印南郡上荘村として存在し、昭和30年（1955年）に加古川市に編入されました。地名の由来は、加古川下流にあたる平荘村（現在の平荘町）に対し、川の上流に位置することから名付けられたと伝えられています。

地域内には、白沢、井ノ口、国包、見土呂、都台、都染、薬栗、小野といった複数の大字が含まれます。大部分は加古川の西岸に広がっていますが、国包地区のみが川の東岸に位置しているのが地理的な特徴です。

歴史

上荘町の歴史は、近代地方自治制度の施行とともに始まります。明治22年（1889年）4月1日、印南郡に属していた見土呂村、白沢新村、井ノ口村、国包村、都染村、薬栗村、小野村の七つの村が合併し、印南郡上荘村が誕生しました。

戦後、昭和の大合併の流れの中で、上荘村は近隣の村と共に加古川市への編入を選択します。昭和30年（1955年）4月1日、印南郡平荘村および加古郡八幡村とともに加古川市に編入され、新たな加古川市の一部となりました。その後、昭和47年（1972年）7月18日には、都台地区に住居表示が設定され、都台1丁目から3丁目が成立しています。

文化・名所

上荘町には、地域の歴史や文化を感じさせる名所や施設が点在しています。

国の登録有形文化財に指定されている旧大西家住宅は、江戸時代に綿花栽培で栄えた豪農、大西家の九代目当主・甚一平が別荘として大正7年（1918年）に建築したものです。現在は料亭として活用されており、その歴史的なたたずまいを今に伝えています。また、同じく国の登録有形文化財であるみとろ苑庭園も地域の重要な景観遺産です。

加古川市の指定文化財としては、上荘町国包の築山神社にあるエノキ・ムクノキが知られています。これは、宝暦6年（1756年）に商人であった長浜屋新六郎が水害時の避難場所として築いた丘に生える樹木で、2本のエノキが1本のムクノキを挟むように生育し、まるで一体化した巨木のように見える珍しい姿をしています。

観光施設としては、季節ごとのフルーツ狩りが楽しめる見土呂フルーツパークやみとろ観光果樹園があり、多くの行楽客で賑わいます。また、疲れた体を癒やすことのできる加古川温泉もこの地域にあります。

施設

地域住民の生活を支える施設としては、上荘簡易郵便局や国包郵便局があります。また、防災拠点として加古川市中央消防署両荘分署が設置されています。

スポーツ施設としては、加古川沿いに加古川市立漕艇センターがあり、日本ローイング協会公認のB級コースとして、国体などの全国規模のボート競技大会も開催可能な施設となっています。

教育

地域の子どもたちが学ぶ場として、義務教育学校である加古川市立義務教育学校両荘みらい学園があります。また、特別支援教育を担う加古川市立加古川養護学校もこの地域に設置されています。

交通

上荘町の最寄り駅は、JR加古川線の厄神駅です。バス路線としては、神姫バスが運行しており、地域内の移動や加古川市中心部へのアクセス手段となっています。主要な道路としては、兵庫県道18号加古川小野線、兵庫県道20号加古川三田線、兵庫県道65号神戸加古川姫路線などが地域を縦横に走り、周辺地域との交通を円滑にしています。

寺社仏閣

古くから信仰の篤い地域であり、複数の寺院や神社があります。主な寺院としては、高野山真言宗の常楽寺（播磨八薬師霊場第二番札所）、浄土真宗本願寺派の教泉寺（天正8年開基）、曹洞宗の長慶寺（正保2年開基）などがあります。また、神社としては、祭神に天照大神などを祀る村社であった上之庄神社があります。

上荘町は、加古川の流れと共に歴史を重ね、自然景観、歴史的建造物、そして地域住民の生活が融合した、加古川市北西部の重要な地域です。

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