上里見藩

上里見藩の概要

上里見藩（かみさとみはん）は、江戸時代中期に群馬県高崎市の上里見村を拠点として短い期間存在した藩です。この藩は1748年に松平忠恒によって設立され、石高は2万石でしたが、1767年には小幡藩に移封され、結果的に廃藩となりました。

歴史の背景

上里見藩の成立には、延享4年（1747年）に松平忠恒が陸奥桑折藩から移封される過程が関与しています。このとき、忠恒は117村にわたって領地を移し、篠塚村に陣屋を設けたことが、篠塚藩の設立につながります。上里見村はこの際、忠恒の新たな領地として制定されました。

立藩から廃藩までの経緯

寛延元年（1748年）に松平忠恒が上野国碓氷・群馬両郡に新たな所領を持つことになり、上里見藩が設立されました。忠恒はこの年の閏10月から若年寄に就任し、徳川吉宗、家重、家治の3代にわたり20年間にわたってその職を全うしました。藩政の取り組みとして、春日堰や松原堰の整備、新田の開発、そして神山宿での定期市の開催が行われました。

1767年、上野国の他の郡に所領を移され、小幡藩が設立されることで上里見藩は廃藩となりました。忠恒は翌年に49歳で亡くなりますが、彼の家系である奥平松平家は小幡藩に定着し、その後の幕末や明治維新時代を迎えました。

藩主と領地

上里見藩の藩主は松平（奥平）家で、所領は2万石とされています。明和2年（1765年）当時の領地分布では、碓氷郡の8村、緑野郡の3村、邑楽郡の5村、利根郡の20村、吾妻郡の6村、群馬郡の2村、陸奥国の伊達郡の5村、伊豆国の田方郡の8村が含まれていました。表高は2万石、実高は2万5203石とされます。

里見郷と神山宿

藩の居所となった上里見村周辺は、古くは里見郷と呼ばれ、新田氏の支流である里見氏の発祥地として知られています。特に里見家の始祖・里見義俊が築いた里見城が存在し、戦国時代にも里見河内という人物がこの地に在城していました。また、上里見には上山城があり、南北朝時代には里見兵庫頭の居館があるとされています。

信州街道がこの地を通っており、神山宿として定められたのは延享3年（1746年）のことで、宿場町も形成されました。この神山宿は、下町・中町・本町の3つの地区に分かれており、上里見藩の陣屋はその南に位置していました。神山宿は、烏川を挟んで向かいの室田宿との関係から争いも生じましたが、宝暦10年（1760年）には神山宿が勝訴する結果となり、松平忠恒がその背景に影響したとされています。

まとめ

上里見藩は、歴史的には比較的短命でしたが、藩主の松平忠恒の活躍や地域の発展に寄与したことは評価されています。藩が廃止された後も、その影響は地域に残り続け、奥平松平家の存続が後の歴史に重要な役割を果たすこととなりました。

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