上野勘一郎

上野 勘一郎（うえの かんいちろう）は、明治時代後期から昭和時代にかけて大日本帝国陸軍に所属した軍人です。明治21年（1888年）5月3日に和歌山県で生を受け、昭和49年（1974年）11月30日にその生涯を終えました。最終的な階級は陸軍中将に昇り、また功二級の功績を認められました。

経歴

上野勘一郎は、軍人としての礎を築くため、陸軍士官学校に入学し、第21期生として卒業しました。その後、さらに高度な軍事知識を習得するため陸軍大学校へ進み、第33期生として課程を修了しました。

初期および中期

軍歴を重ねる中で、昭和8年（1933年）8月には陸軍歩兵大佐に昇進し、同時に満州に駐屯する関東軍の高級副官という重要なポストに就任しました。この役職で二年ほど務めた後、昭和10年（1935年）には、前線部隊である歩兵第10連隊の連隊長に転じ、部隊指揮の経験を積みました。

日中戦争期

昭和12年（1937年）8月2日、陸軍少将への進級と同時に、上海派遣軍隷下の第3師団に属する歩兵第29旅団長に任命され、日中戦争における上海方面への出動を命じられました。上野少将は、この激しい戦いにおいて、呉淞（ウースン）への大胆な敵前上陸作戦を指揮し、敵の強力な抵抗を排除して上陸を成功させました。その後も、中国大陸での戦線において追撃戦を指導し、南京攻略戦、徐州会戦、そして武漢攻略戦といった重要な軍事作戦に、その指揮官として深く関与しました。

後期

中国大陸での激戦を終えた後、昭和14年（1939年）3月9日には日本本土に戻り、留守第7師団司令部附となりました。同年6月2日には、樺太（現在のサハリン南部）を守備する樺太混成旅団長に就任し、北辺の守りにあたりました。そして、同年10月2日には、ついに陸軍中将へと昇進を果たしました。

昭和15年（1940年）9月1日、より大規模な部隊である第51師団の師団長（東部軍管区に所属）に親補され、その指揮を執ることとなりました。しかし、翌昭和16年（1941年）7月5日には一度、現役を退き予備役に編入されます。ところが、そのわずか二日後の7月7日には再び召集を受け、留守第51師団長として再び軍務に服することとなりました。この二度目の現役勤務は、昭和17年（1942年）4月1日に再び召集解除となるまで続きました。

第二次世界大戦終結が迫った昭和20年（1945年）3月31日、三度目の召集を受け、故郷である和歌山県の防衛を担う和歌山連隊区司令官と和歌山地区司令官を兼任することになりました。彼はこの地で終戦を迎えることとなります。

戦後

終戦後、昭和22年（1947年）11月28日、連合国軍総司令部（GHQ）による公職追放の対象となり、公職追放仮指定を受けました。

このように、上野勘一郎中将は、関東軍高級副官、歩兵第10連隊長といった役職を経て、日中戦争においては歩兵第29旅団長として呉淞への敵前上陸を成功させ、南京、徐州、武漢の主要な攻略戦で指揮を執り、その後も樺太混成旅団長、第51師団長などを歴任するなど、激動の時代を陸軍軍人として駆け抜けました。

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