上野直昭

上野 直昭（うえの なおてる）について

1882年11月11日に神戸市で生まれた上野直昭は、日本の美学と美術史において影響力のある学者でした。彼は東京帝国大学を卒業後、名高い美学者である大塚保治教授のもとで副手として活動し、美術に対する研究を深めました。特に1916年には、東照宮三百年祭記念会からの支援を受けて絵巻物の調査を行い、貴重な研究成果を上げました。さらに、1920年以降は東京女子大学や京城帝国大学にて教育に従事し、1941年まで京城帝大で教授を務めました。

彼はまた1941年から1944年まで大阪市立美術館の館長を務め、その後は東京美術学校の校長に就任。その後、東京芸術大学が発足すると同時に学長に就任し、1961年までその職にありました。この間、彼は文化財保護についても多大な貢献をし、1940年に国宝保存会の一員となり、1952年まで文化財保護審議会の専門委員として活動しました。彼の尽力により、日本の美術界は大きく発展しました。

上野は、様々な実績から文化功労者としての認定を受け、1964年には勲二等旭日重光章を受け、1973年には死去に際して正三位に叙されました。彼の研究テーマには日本絵巻物や東洋と西洋の美術の比較が含まれ、特に日本の美術の独自性を探求する姿勢が際立っていました。

彼の個人生活もまた特筆すべきものであり、妻のひさは東京音楽学校を卒業したヴァイオリニストであり、後に上野学園大学の名誉教授となりました。彼女は直昭の学問活動を支え、共同で活動していました。また、彼の一人娘である二女のアキは美術史家としてのキャリアも持ち、東京文化財研究所の名誉研究員として働いていました。

上野は多くの著作や論文を残しており、翻訳や共著でも多大な業績を持っています。彼の影響は、美学や美術史だけにとどまらず、後進の育成や文化財保護にまで及びました。1966年には愛知県立芸術大学の学長に就任し、1973年までその地位を保持していました。

彼は1973年4月11日に心不全により死去しましたが、その生涯にわたる業績と影響は、後世の美術界に深い印象を与え続けています。このように、上野直昭は日本の美術と美学の発展において中核的な役割を果たした人物であり、記念すべき学者すなわち教育者でもありました。

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