上野瞭

上野 瞭（うえの りょう）について

上野瞭は1928年8月16日に京都府で生まれ、2002年1月27日にこの世を去りました。彼は日本の児童文学作家として著名であり、多数の作品を書き上げ、教育者としても輝かしい業績を残しました。

人物背景

本名は瞭（あきら）で、商人の父と病気の母のもとで育ちました。彼は6人兄弟の長男であり、子供の頃から文学に興味を持っていました。しかし、当時の教育方針や子供向け雑誌に対しては反発を抱き、特定の作家の作品を避ける一面もありました。彼の人生の早い段階では、第二錦林尋常小学校での教育や、商業学校への通学と同時に、太平洋戦争の影響を受けながらも、文筆活動を続けました。

文学活動の始まり

立命館専門学校に在学中に、子供向けの童話を雑誌に発表し始めた上野は、その後、同志社大学に編入し、哲学を専攻しました。1952年には高校の国語教師として勤務しつつ、同人誌「児童文学界」に作品を掲載しました。1954年には岩本敏男などと共に児童文学同人誌「馬車」を立ち上げ、それ以降も様々な作家と交友を深めました。特に、1963年からは思想の科学研究会に参加し、児童文学だけでなく幅広いテーマについての探求を続けました。

評論家としての地位

1967年、今江祥智の薦めにより著書『戦後児童文学論』を出版し、それをきっかけに彼の批評家としてのキャリアが始まりました。後に奈良佐保女学院短期大学や同志社女子大学で教授として教鞭を取り、児童文化に関する講義を行いました。

代表作と受賞歴

特に1983年に発表された『ひげよ、さらば』は、独自の視点で描かれた猫を主人公にしたハードボイルド作品であり、発表と同時に大きな話題を呼び、第23回日本児童文学者協会賞を受賞しました。この作品は後にNHKで人形劇化もされ、上野の作品の代表作となりました。他にも、一般小説として『砂の上のロビンソン』や、『アリスの穴の中で』などがあり、これらも高い評価を得ています。

多彩な著作

上野は児童文学、一般小説、評論など多岐にわたる著作を残しました。著名な作品には『ゲリラ隊の兄弟』や『ちょんまげ手まり歌』などがあり、また彼の著書の中には翻訳や編著も数多く含まれています。特に、児童文学の分野での功績は広く認知されており、多くの読者に愛されています。

晩年と影響

2002年、上野は胆管癌により73歳で亡くなりましたが、彼の逝去後もその影響力は大きく、彼の作品は今なお多くの人に親しまれています。また、彼の息子である上野宏介もイラストレーターとして活躍しており、文学の世界において親子の連携を感じさせる存在です。彼の生涯を通じて、上野は子どもたちに夢と希望を与える作品を提供し続けました。今後も彼の作品が多くの世代に受け継がれていくことでしょう。

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