上野通

神戸市灘区上野通：穏やかな地形と歴史が織りなす街

兵庫県神戸市灘区に位置する上野通は、昭和6年（1931年）9月、複数の旧字を統合して誕生した町です。琴野、寺ノ前、花木、東原、観音寺といった旧字に加え、五毛字山路、弓場、中島、天神、一貫、宝寺、そして畑原字東上イバノ元が合併し、現在の上野通が形成されました。郵便番号は657-0817です。

上野通は東西に細長く伸びており、東から順に一丁目から八丁目までが並んでいます。東側は篠原本町、南側は赤坂通、西側は青谷町と隣接し、北側には神戸市道山麓線を挟んで、西側が城の下通、東側が国玉通と接しています。

町名の由来は、旧上野村に由来します。地名の通り、「ゆるやかな地形＝野」の上手にあることから名付けられたと考えられています。古くは『五畿内志』に記されているように「天城野」と呼ばれており、天城郷（あまぎのさと）は菟原郡の郷の一つでした。

『灘区の地名』には、旧小字名である「イバノ元」の由来について興味深い記述があります。弓場と共に、豪族の屋敷跡に関連した「射場」説と、イワイバを短縮した「斎場（いば）」説の二つの説が提示されています。

かつて存在した観音寺は現在は消滅していますが、その歴史は2017年現在でも、市バスの停留所名として名を残しています。これは、上野通の歴史を偲ばせる貴重な痕跡と言えるでしょう。

令和2年国勢調査（2020年10月1日時点）によると、上野通の世帯数は942世帯、人口は2,169人です。内訳は男性999人、女性1,170人となっています。

上野通は、歴史と自然が調和した穏やかな町並みが魅力です。古くからの地名にまつわる物語や、現代の生活が融合した、独特の雰囲気を持つ地域となっています。穏やかな傾斜地と、歴史の重みに彩られた上野通は、神戸の街の歴史を知る上で重要な場所と言えるでしょう。

参考文献

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年。ISBN 978-4-343-00437-6。
灘区役所広報相談課 編『灘区の町名』灘区役所広報相談課、1976年。

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