下大屋町

群馬県前橋市に属する下大屋町（しもおおやまち）は、市の東部に位置し、その領域は2013年時点で1.32平方キロメートルを占めます。郵便番号は379-2102です。

地理的には、赤城山の南側斜面にあたる山麓地域の末端部に広がっています。地区の南東方向には、安産の神様として信仰を集める産泰神社が鎮座する小高い丘が見られます。

下大屋は、江戸時代前期には既に記録に現れる歴史ある地名です。この地域は元々、北側に隣接する現在の上大屋町と合わせて一つの集落であったと考えられています。やがて集落が拡大・分立するにつれて、『上』と『下』に区別されるようになり、現在の形が成立しました。

江戸時代を通して、この地の領有は幾度も変遷しました。当初は大胡城主牧野氏の所領であったものが、元和二年（1616年）には前橋藩の支配下に入ります。その後、明和五年（1768年）には幕府直轄領となり代官前沢藤十郎の管轄となりましたが、天明五年（1785年）に再び前橋藩領に戻ります。さらに天保十四年（1843年）には再び幕府領となり岩鼻代官林部善太左衛門の支配を受け、弘化二年（1845年）からは武蔵国岩槻藩の飛地領として幕末を迎えることになります。

近代に入り、明治22年（1889年）4月1日の町村制施行にあたり、下大屋村は周辺の荒子村、ニ之宮村、今井村、富田村、荒口村、泉沢村、飯土井村、新井村、西大室村、東大室村と合併し、新たに南勢多郡荒砥村の一部となりました。その後、明治29年（1896年）4月1日には南勢多郡と東群馬郡が統合されたことで勢多郡所属となります。昭和32年（1957年）2月20日、荒砥村は木瀬村と合併して城南村が成立し、下大屋はその一部となります。そして昭和42年（1967年）5月1日、城南村が前橋市に編入されたことにより、地名は前橋市下大屋町となりました。

地名の『大屋』の由来にはいくつかの説がありますが、一般的には『おお』が美称や大きいことを指し、『や』が家や集落を意味すると考えられています。この二つが組み合わさった『おおや』は、かつてこの地域を支配した有力な家柄や豪族を指す言葉であったとする説が有力です。

地区内に鉄道駅はありません。主要な道路としては、国道は通過していませんが、群馬県道74号伊勢崎大胡線および群馬県道76号前橋西久保線が域内を走っており、周辺地域とのアクセスを担っています。

地区内に特筆すべき施設としては、古くから安産の神様として信仰を集める産泰神社があります。この神社は地区南東の丘に鎮座しています。

なお、2017年（平成29年）8月31日現在で、この地区の世帯数および人口に関する調査が実施されています。また、前橋市の市立小・中学校に通う場合の学区についても定められています。

参考文献として、『角川日本地名大辞典 10 群馬県』（角川書店、1988年）が挙げられます。

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