下小鳥ダム

下小鳥ダムの概要

下小鳥ダム（しもことりダム）は、岐阜県飛騨市に位置するロックフィルダムであり、一級河川の神通川水系に属する小鳥川に建設されています。このダムの高さは119メートルで、関西電力が管理する発電用のダムとして知られています。下小鳥ダムは下小鳥発電所に水を供給し、最大で14万2,000キロワットもの電力を生み出します。また、ダムによって形成される湖は「下小鳥湖」と呼ばれ、美しい風景が広がっています。

歴史的背景

神通川は、岐阜県の川上岳に源を発し、最終的に富山湾へと流れ込みます。岐阜県内では宮川と呼ばれており、この流域では1925年に日本電力による大規模な水力発電所である蟹寺発電所が完成しました。その後、電気業界が政府の管理下に置かれ、戦後には民営化が進みました。関西電力は1952年からこの流域でのダム建設を開始し、打保ダムや坂上ダム、角川ダムなどを完成させました。

1970年からは小鳥川での電源開発に関する計画が立てられ、当初は3基のダムを建設する予定でした。上小鳥ダム、中小鳥ダム、下小鳥ダムの3つが計画され、それぞれ異なる発電所を併設することが目指されました。しかし、地質調査で見つかった問題から、最終的には下小鳥ダムのみに絞り、工法もロックフィルダムに変更されました。そして1973年に下小鳥ダムが完成し、総貯水容量はなんと1億2,303万7,000立方メートルに達しました。

ダムの機能と影響

下小鳥ダムは、下流の水力発電所の電力増加にも寄与します。このダムは、周囲の地質条件を考慮し、経済的に効率的な形で設計されており、関西電力の水力発電の中でも重要な位置を占めています。また、2018年にはダムの下流に新たな発電所の建設計画が発表され、2021年には営業運転がスタートする予定です。

アクセスと周辺情報

下小鳥ダムへのアクセスは、東海北陸自動車道の飛騨清見インターチェンジを利用し、県道478号を北上することで可能です。この道を進むと、高山市を経てダムに到達できます。湖畔にはパーキングエリアがあり、観光客が訪れる際の休憩地点となっています。

ダムの建設以降、小鳥川の水量は減少していましたが、2003年からは維持放流が行われ、環境への配慮もされています。周辺では関西電力の社員や元住民らが集まり、環境保護のための植樹活動も行われています。また、下小鳥湖では「河ふぐ」という特徴的な魚が養殖され、地元の食材として親しまれています。

この地域は他にも角川ダム、坂上ダム、打保ダムといった関西電力の発電用ダムが存在し、電力供給の重要な拠点となっています。歴史的にも価値のある蟹寺発電所も、この地域の名所です。下小鳥ダムは、地域の発展と環境保護の両立を目指した重要な構造物として、今後も注目され続けるでしょう。

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