下山啓

下山 啓（しもやま けい）氏は、1947年3月24日に東京都で生を受けました。早稲田大学を中退後、1968年より放送作家としての道を歩み始めます。以来、半世紀以上にわたり、テレビ番組の構成や脚本、そしてステージショーの演出を中心に、日本のエンターテインメント界で精力的な活動を展開しています。

放送作家としては、黎明期から成熟期に至るまで、多種多様なテレビ番組に携わってきました。TBS系のバラエティ番組「ヤング720」や、日本テレビの伝説的なコメディ番組「巨泉・前武のゲバゲバ90分!!」でキャリアを重ね、その後も「8時だョ!全員集合」（TBS）といった国民的人気番組の構成に深く関わりました。また、NHKの歌番組「ひるのプレゼント」「歌のグランド・ショー」「NHK紅白歌合戦」など、数多くの音楽番組を手がけ、フジテレビの「ゴールデン歌謡速報」なども担当しています。

教育・子供向け番組への貢献も特筆されます。日本テレビのユニークな教育バラエティ「カリキュラマシーン」に参加したのを皮切りに、NHK教育テレビ（Eテレ）では、多くの子供たちの心に残る番組を生み出しました。「ハッチポッチステーション」、「クインテット」、「コレナンデ商会」といった人気シリーズの構成・脚本を担当し、子供向け番組における新しい表現を追求しました。

演出家としても幅広い分野で活躍しています。舞台では、山口百恵主演の「ミュージカル・愛の鐘は鳴らない」の脚本を手がけたほか、明治座での堺正章公演シリーズ（「おしゃべり伝六一番手柄」「忠臣蔵症候群 仇討ちでござる」など）の脚本を担当しました。また、シアターアップルでの「二枚目Ⅱ」シリーズなど、演劇作品の構成・演出も手がけています。

特に、歴史的建造物を舞台にした「音舞台シリーズ」では、金閣寺、清水寺、法隆寺、東大寺など、名だたる古寺社を舞台にしたコンサートの構成・演出を長年にわたり担当し、日本の伝統文化と音楽を融合させた独自のステージを作り上げました。

さらに、多くのアーティストのショーやコンサートの構成・演出も手がけています。堺正章、由紀さおり・安田祥子、森山良子、島田歌穂といった国内アーティストから、サラ・ブライトマンのような国際的なアーティストまで、幅広いジャンルのコンサートやディナーショーを成功に導いています。

作詞家としても知られており、小松政夫のヒット曲「小松の親分さん」や、「カリキュラマシーン」のテーマソングなどを手がけました。また、「おかあさんといっしょ」では「てをたたこ」「イカイカイルカ」など、子供たちに親しまれる多くの楽曲で作詞を担当しています。「クインテット」でも宮川彬良氏作曲の楽曲で作詞を手がけるなど、子供向け楽曲の分野でも重要な役割を果たしています。

著書には「兄弟姉妹人間学」や、「ハッチポッチステーション」関連の絵本シリーズなどがあります。

また、長年の仕事仲間であった脚本家の浦沢義雄氏との関係から、息子の下山健人氏も浦沢氏に師事し、脚本家として活動しています。

下山啓氏は、放送作家、作詞家、演出家という多面的な才能を活かし、テレビ、舞台、音楽など、日本のエンターテインメントシーンの形成に深く貢献し続けているクリエイターです。

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