下山門駅

下山門駅（しもやまとえき）

福岡県福岡市西区下山門四丁目に位置する、九州旅客鉄道（JR九州）筑肥線の駅です。駅番号は「JK02」が付与されています。この駅は、都市部の郊外に広がる住宅地を主な利用者層としており、地域における生活の足として重要な役割を担っています。

設置の経緯

下山門駅の開設は、周辺地域の開発と公共交通網の整備要求に応える形で実現しました。具体的には、近くに福岡市交通局による姪浜車両基地が建設される際、地域住民から利便性向上のために駅設置を望む強い要望が寄せられました。これを受け、福岡市は車両基地敷地内ではなく、近接するJR筑肥線上に新駅を設置することを決定しました。この新駅建設に要した費用は、特例的に福岡市が全額を負担したという経緯があります。

歴史

当駅は、1986年（昭和61年）7月20日に、当時の日本国有鉄道（国鉄）の駅として開業しました。開業にあたっての総工費3億8,300万円は、前述の通り福岡市によって全額が拠出されています。開業当初から駅業務は外部に委託される形態、すなわち業務委託駅として運営されていました。

国鉄の分割民営化に伴い、翌年の1987年（昭和62年）4月1日からは、九州旅客鉄道（JR九州）の駅として運営が引き継がれました。利用者の利便性向上のため、1999年（平成11年）12月18日には自動改札機が設置され、使用が開始されました。さらに、ICカードシステムの導入も進められ、2010年（平成22年）3月13日からは、JR九州が提供するICカード「SUGOCA」の利用が可能となりました。

安全対策も図られており、2021年（令和3年）3月13日にはホームに可動式ホーム柵（ホームドア）が設置され、使用が開始されています。一方、駅での対面サービスの変化として、2022年（令和4年）3月11日をもって、みどりの窓口の営業が終了しました。

駅構造

下山門駅は地上に設けられた駅で、線路を挟んで向かい合う形の相対式ホームが2面、それぞれのホームに1線ずつの合計2線が配置されています。各ホームの有効長は約130メートルあり、最大で6両編成の列車が停車することができます。上下線のホーム間の移動は、線路上に架けられた跨線橋を利用することになります。

駅の運営形態は業務委託駅となっており、駅業務はJR九州サービスサポートに委託されています。改札設備は自動改札機が導入されており、「SUGOCA」をはじめとする全国相互利用に対応した各種交通系ICカードが利用可能です。

利用状況

近年は比較的安定した利用状況が見られます。2023年度の統計によると、1日あたりの平均乗車人員は2,798人でした。これは、周辺に広がる大規模な住宅地からの通勤・通学需要を反映した数字と言えます。

駅周辺

駅舎が面している南側には、下山門団地や城の原団地といった集合住宅群や、一戸建ての住宅地が広がっています。駅のすぐ近くにはコンビニエンスストアが一軒あるものの、駅周辺に大規模な商業施設は少なく、また主要な幹線道路からも少し離れているため、全体として落ち着いた閑静な住宅環境が特徴です。

周辺には、福岡市交通局の姪浜車両基地が近くにあり、また歴史的な史跡である元寇防塁跡、夏季には多くの海水浴客で賑わう生の松原海水浴場なども比較的近い場所にあります。公共交通としては、西鉄バスの下山門駅入口バス停が利用できます。教育機関としては福岡市立下山門中学校があり、日常生活の買い物に便利なスーパーマーケット（サニー下山門店）も立地しています。

その他の特徴

当駅は福岡市内に所在していますが、JRの旅客営業規則における「福岡市内」の駅としては扱われていません。これは、筑肥線のJR線区間が当駅から東側は姪浜駅までとなっており、福岡市内の他のJR線の駅（例えば博多駅や吉塚駅など）とJR線のみで直接結ばれていないためです。かつて筑肥線が博多駅まで乗り入れていた時代には、その区間が「福岡市内」として指定されていましたが、当駅が開業したのは福岡市地下鉄との直通運転が始まり、筑肥線のルートが変更された後のことでした。このため、下山門駅は一度も「福岡市内」の特定都区市内駅として指定されたことがありません。

隣の駅

九州旅客鉄道（JR九州）筑肥線の停車駅は以下の通りです。

■快速（土休日ダイヤ）：当駅は通過となります。
■快速（平日ダイヤ）・■普通列車：
姪浜駅（JK01）- 下山門駅（JK02） - 今宿駅（JK03）

下山門駅は、地域からの強い要望と福岡市の財政的な支援によって生まれたユニークな背景を持つ駅であり、周辺住民にとって不可欠な交通インフラとして機能しています。

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