下津井地区

岡山県倉敷市児島地区 下津井

下津井地区は、岡山県倉敷市児島地域に位置し、かつての児島郡下津井町に相当するエリアです。児島半島の南西端に位置し、瀬戸内海に面した丘陵地帯が特徴で、平地が少ない地形です。総人口は約5700人となっています。

歴史と文化

下津井地区は、古くから港町として栄えました。東部には名峰・鷲羽山があり、この地では西日本で最初の旧石器時代の石器が発見されています。また、古墳時代や平安時代の遺跡、神社も存在し、古代から人が住んでいたことがわかります。平安時代には、藤原純友の反乱がこの地で起こり、歴史的な舞台となりました。

江戸時代には北前船の寄港地として栄え、金比羅参りの渡海港としても賑わいました。町には廻船問屋や遊郭が軒を連ね、当時の面影を今に残しています。下津井は天然の良港に恵まれ、「風待ち・潮待ちの湊」として、奈良時代や平安時代の文献にもその名が記されています。

下津井の名前の由来は、「吉備児島の下の津」であるとされ、かつて中心であった郷内地区から最も下に位置する港を意味しています。江戸時代末期には「下津井」と呼ばれるようになり、以前は「長浜」と呼ばれていました。この地域は「下津井」「吹上」「田ノ浦」「大畠」の四つの浦をまとめて「四ヶ浦」と呼ばれていました。

1907年には市町村合併により児島郡下津井町が成立し、その後児島市を経て、現在の倉敷市となりました。1911年には下津井電鉄が開業し、1914年には下津井まで路線が敷設されました。しかし、1988年の瀬戸大橋開通により、旅客港や商港としての機能が低下し、1991年には下津井電鉄が鉄道事業から撤退しました。

産業と生活

現在も漁業が盛んで、特に「下津井蛸」は有名です。11月頃には港の近くで蛸が天日干しされる風景が見られ、地元漁協による小売市場も開かれます。下津井は、牛窓や寄島と並ぶ県内有数の漁港として知られ、イイダコやママカリなどが水揚げされます。しかし、漁業も後継者不足の問題を抱えています。

観光産業も重要な役割を担っており、鷲羽山や鷲羽山ハイランドを中心に、多くの観光客が訪れます。丘陵上からは瀬戸内海や瀬戸大橋を一望でき、風光明媚な景色が楽しめます。宿泊施設も多数存在します。

地域ごとの特徴

下津井

古代から中世にかけて海運・軍事の拠点として栄え、江戸時代には備前岡山藩の領地となり、城下町として発展しました。金比羅往来の渡海港としても賑わい、由加山と金刀比羅宮の両参りの風習が盛んになりました。

吹上

下津井や田之浦同様、古くから開けた港町で、江戸時代には多くの商人が在住し、宿屋や料理屋も繁栄しました。近代化とともに衰退しましたが、現在は漁港として機能しています。

田之浦

鷲羽山南麓に集落が続き、古くから漁業が盛んです。田土浦坐神社の門前町として発展し、真言宗弘泉寺などの古い寺院も存在します。

大畠

下津井地区南東端の岬にある地区で、漁業が中心でしたが、近代以降は繊維業の中小業者も増えました。平家の大将が陣屋を構えた場所であり、鷲羽山大宝寺などの寺院があります。

その他の情報

下津井地区の電話番号の市外局番は086で、倉敷MAに属します。郵便番号は711で、各地区によって異なります。小学校区は下津井東小学校と下津井西小学校に分かれ、中学校区は下津井中学校区となります。

主な施設

倉敷市役所下津井市民サービスコーナー
下津井郵便局
倉敷市立下津井中学校
倉敷市立下津井東小学校
倉敷市立下津井西小学校
鷲羽山
鷲羽山ハイランド
下津井町並み保存地区
むかし下津井回船問屋
下津井電鉄線下津井駅跡
瀬戸大橋架橋記念公園
田土浦坐神社
弘泉寺

交通

瀬戸中央自動車道 児島インターチェンジ
岡山県道21号岡山児島線
岡山県道393号鷲羽山公園線
下電バス
下津井電鉄線（廃止）

港湾

下津井港
大室港
田之浦港
吹上港
大畠港

参考文献

『北前船と下津井港』 角田直一、手帖舎
『下津井と荻野家物語』 十河直樹、岡山県方言研究会
『岡山地名事典』 巌津政右衛門、日本文教出版社
『岡山地名事典』 岡山県大百科事典編集委員会、山陽新聞社
『日本地名大辞典2 中国・四国』 渡辺光・中野尊正・山口恵一郎・式正英、朝倉書店
『日本地名大系第三四巻 岡山県の地名』 下中直也、平凡社
『県別マップル33 岡山県広域・詳細道路地図』 黒田茂夫、昭文社

関連情報

下津井地区は、アニメ映画「ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜」の舞台にもなっています。瀬戸内海の美しい風景と歴史的な町並みが、訪れる人々を魅了する場所です。

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