下田昌克

下田昌克（しもだまさかつ）氏は、1967年兵庫県生まれのイラストレーター、画家です。兵庫県立明石高等学校美術科卒業後、桑沢デザイン研究所を卒業。就職活動は長く続かず、各地を転々とするアルバイト生活を送ります。

転機が訪れたのは26歳の時。1994年、北京ダックを食べるため、中国への旅行を皮切りに、チベット、ネパール、インド、ヨーロッパへと至る2年間の海外旅行に出かけます。この無計画な旅の中で出会った人々のポートレイトを色鉛筆で描き始めます。

帰国後、1997年にはこのポートレイト作品が『週刊アサヒグラフ』で1年間連載されることになります。これがきっかけとなり、下田氏は本格的に絵の仕事へと進んでいくのです。

下田氏の作品の特徴は、色鉛筆を使った鮮やかな色彩と繊細な線、そして独特の世界観です。独特の画風で注目を集める一方で、彼はミシンで制作した恐竜の被り物でも知られています。この恐竜の被り物は彼の作品世界を象徴する存在であり、様々なコラボレーションや展示にも用いられています。

2015年には、書籍『恐竜人間』の発売を記念した「大恐竜人間博」がパルコミュージアムで開催されました。このイベントは、下田氏の作品世界を広く知らしめる大きな機会となりました。

下田氏の活躍は国内にとどまりません。2018年にはパリコレのランウェイで、彼の制作した恐竜の被り物が『コム・デ・ギャルソン・オム プリュス』のヘッドピースとして採用されました。同年には、コム・デ・ギャルソン青山店での恐竜作品のインスタレーションを皮切りに、ニューヨーク、パリ、銀座、ロンドン、北京、香港、LAのDover Street Marketと世界各地を巡回する展示を開催、国際的な評価も確立しました。

下田氏は、絵本や書籍の挿絵、雑誌連載など、多岐にわたる分野で作品を発表しています。主な著書には、『そらのいろ みずいろ』『PRIVATE WORLD』『バナナの蜜』『ヒマラヤの下 インドの上』などがあります。また、ウーリー・オルレブ氏や山中恒氏、谷川俊太郎氏ら著名な作家との共著や挿絵作品も数多く手がけています。

さらに、NHKのテレビ番組『幕末ヒーロー伝』や『二人のTAKESHI』、『情熱大陸』、TBSの『NEWS23X』など、テレビ番組の制作にも携わっています。映画『クローズド・ノート』や『ステキな金縛り』、『三里塚のイカロス』など、映画作品への参加も経験しています。

下田昌克氏の作品は、独特の色使いと、細密で繊細な描写、そして温かい人間性が感じられる、他に類を見ない魅力に溢れています。彼の作品は、観る者の心に深く感動を与え、忘れられない印象を残すでしょう。色鉛筆というシンプルな画材を使いながらも、彼の作品からは無限の想像力と表現力を感じ取ることができます。これからも、下田氏からどのような作品が生まれるのか、目が離せません。

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