下里正樹

下里正樹の生涯と業績

下里正樹（しもざと まさき）は、1936年12月28日に大阪市に生まれ、2022年6月24日に85歳で逝去した日本の著名なジャーナリストです。特に「赤旗」、現在の「しんぶん赤旗」の記者としてその知名度を高めました。ジャーナリズムだけでなく、将棋関係の観戦記の執筆も手がけており、筆名の奥山紅樹でも知られています。

彼の経歴は、多岐にわたります。下里は、農林水産省の職員としてキャリアをスタートしましたが、後に日本共産党中央機関紙「赤旗」の記者として職を転じました。1972年には、著名な作家松本清張が「赤旗」に連載した小説『風の息』の担当を模索し、その後も森村誠一のアシスタントとして奉仕しました。この期間に、下里は特に1980年代初頭に連載された森村の著作『悪魔の飽食』の取材に携わり、731部隊に関する新たな事実を発掘しました。

下里は1989年から1991年にかけて「赤旗」上で連載された「日本の暗黒―実録・特別高等警察」など、重要なテーマについて取材と執筆を行いました。だが、その中で彼は共産党内の意見と対立し、1991年には連載が一時休載に追い込まれました。この事態に対して、下里は「小説」を通じて自身の見解を発表し、党からは本部勤務員としての解雇と党員権の停止処分を受けました。その後も彼は党内の高圧的な調査について疑問を呈し、反論を試みましたが、受け入れられず、最終的には『文藝春秋』誌に意見を掲載したことから、同年に除名処分を受ける事態となっています。

下里正樹の作品は、ジャーナリズムの枠を超え、多くの分野に渡ってその影響を及ぼしました。彼の代表作である『悪魔の飽食』シリーズは、731部隊の真実を知るための重要な資料として今日でも評価されています。彼はまた、外交や歴史問題に関する重要性を訴え、多くの書籍を通じてそのメッセージを形にしました。さらに、オウム真理教に関連した事件についても、『オウムの黒い霧』などの著書を執筆し、当時の社会に向けた警鐘を鳴らしました。

引退後は長野県に住み、最後の年月を高知市で過ごしました。文筆活動を通じて、彼の視点や思考は多くの人々に影響を与え続けました。2022年の死去に際して、下里正樹の存在は日本のジャーナリズムに大きな足跡を残したことを、後世が証明するでしょう。彼の業績は、今も多くの後進の筆者たちに影響を与え続けています。

もう一度検索