下間頼言

下間頼言：本願寺と戦国時代の狭間を生き抜いた武将僧侶

下間頼言は、戦国時代を生きた、本願寺に仕えた僧侶にして武将です。天文5年（1536年）には本願寺へ出仕し、奏者という要職に就きました。下間氏は本願寺と深いつながりを持ち、頼言の活躍はその家系の影響も色濃く反映しています。

下間氏の宗家当主である下間頼総の名代、下間頼治と下間真頼が相次いで亡くなった天文21年（1552年）、頼言は10世法主・証如の命を受け、その役職を継承します。さらに、再従兄弟の下間頼資と共に名代を務め、本願寺の重要な役割を担いました。

『私心記』という証如側近の日記には、頼言が鉄砲で撃ち落とした雁を献上し、その雁汁が振る舞われたという興味深い記述が残されています。これは、頼言の武勇と、証如からの信頼の厚さを物語る一コマでしょう。

11世法主・顕如の時代になると、頼言の他に、頼総、頼資、そして弟である下間頼良も奏者となり、4人で奏者を務める体制が築かれました。この奏者という要職への就任は、頼言の父である頼次が奏者であったこと、祖父である下間光宗が8世法主・蓮如に仕えていたこと、そして妻が証如の母である鎮永尼に仕えていたことなど、幾重にも重なった背景が影響していたと考えられます。

天文24年（1555年）6月、朝倉氏は朝倉宗滴（教景）を大将として大規模な侵攻を開始、江沼郡を舞台に激しい戦いが繰り広げられました。菅生口、敷地口といった地では、激戦が数ヶ月に渡り続きました。しかし、教景の死去や、翌年の休戦・撤兵により、戦いは終結を迎えます。

同年、足利義輝将軍の調停により、加賀と越前が和睦しました。この和睦工作に、本願寺から加賀へと派遣されたのが頼言でした。彼は朝倉義景と加賀超勝寺の紛争の仲裁に尽力しますが、その最中に命を落とします。

頼言の死因については、和睦に不満を持つ超勝寺顕祐（教芳）による毒殺説が有力です。加賀光教寺住持顕誓がこの事件を取り上げており、超勝寺内衆が「火起請」という厳しい誓約を立てさせられたという記録も残っています。

下間頼言は、本願寺の隆盛を支えた重要な人物であり、戦国時代の混乱期において、宗教と政治の両面で活躍した稀有な存在でした。その最期は謎に包まれていますが、彼の生涯は、戦国時代の激しい時代を反映したドラマティックなものであったと言えるでしょう。様々な史料から彼の足跡をたどり、その人物像に迫っていくことは、戦国時代を理解する上で重要な一歩となるはずです。

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