超勝寺

超勝寺：戦乱と信仰の軌跡、東西に分かれた浄土真宗寺院

福井県福井市藤島町に鎮座する超勝寺は、浄土真宗を象徴する寺院として、長く地域の歴史に深く関わってきました。本願寺の東西分派という激動の時代を背景に、現在では浄土真宗本願寺派の西超勝寺と真宗大谷派の東超勝寺として、それぞれ独自の道を歩んでいます。阿弥陀如来を本尊とし、越前国の藤島に創建されたことから、かつては藤島超勝寺と呼ばれていました。

創建と吉崎御坊との関わり

明徳3年(1392年)、越前国藤島庄の地頭であった斯波豊郷の勧進により、藤島城跡に創建されました。創設者は本願寺5世綽如の次男、頓円です。その後、文明3年(1471年)には、本願寺8世蓮如が吉崎に吉崎御坊を建立すると、超勝寺4世蓮超は、周辺に多屋を構え、吉崎御坊を支えました。蓮超が蓮如の娘である蓮周尼を妻に迎えていた縁もあり、蓮如はしばしば超勝寺に滞在したと伝えられています。

戦乱と加賀への逃避行

しかし、文明6年(1474年)に兵火によって焼失。5世実顕とその子実照は、永正3年(1506年)の九頭竜川の戦いで朝倉氏に敗れ、本覚寺と共に加賀国へと逃れました。加賀では、越前からの亡命門徒をまとめる役割を担いますが、享禄4年(1531年)には、加賀の在地門徒との間で激しい争いが勃発。本願寺の支援を得て勝利を収め、加賀で勢力を拡大しました。

その後、実顕の弟勝祐と7世顕祐は弘治元年(1555年)に越前への復帰を試みましたが失敗。永禄10年(1567年)に朝倉氏との和睦が成立すると、本覚寺と共に越前へと戻り、藤島の旧地に寺を再興しました。

織田信長の越前攻めと東西分派

しかし、天正2年(1574年)の富田長繁の反乱、それに続く越前一向一揆への参加が、超勝寺の運命を大きく変えました。天正3年(1575年)、織田信長の越前攻めにより一揆は鎮圧され、超勝寺は再び焼失しました。

慶長7年(1602年)、本願寺の東西分派に伴い、超勝寺も東西に分かれました。西[[本願寺]]（浄土真宗本願寺派）を支持した弟准照が西超勝寺を継承し、東[[本願寺]]（真宗大谷派）を支持した兄頓恵が東超勝寺を新たに建立しました。

江戸時代以降

江戸時代には西超勝寺は福井藩から優遇されましたが、嘉永6年(1853年)に火災で多くの堂宇を失いました。明治15年(1882年)に別格寺、昭和10年(1935年)には別格別院となりました。昭和23年(1948年)の福井地震では、本堂が傾き、多くの建物が倒壊しましたが、その後復興を果たしました。西超勝寺境内には、藤島城跡を示す石碑や土塁が残されています。

超勝寺の歴史は、戦乱と信仰、そして復興を繰り返してきた日本の歴史そのものを映し出す鏡と言えるでしょう。現在もなお、人々の信仰を集め続けるその姿は、未来へと続く歴史の証となっています。

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