不可説不可説転

不可説不可説転について

不可説不可説転（ふかせつふかせつてん）は、仏教の経典『华厳経』に現れる特異な数詞であり、自然数の中でも桁外れのサイズを持っています。これは、無量大数よりもはるかに大きな数単位として位置づけられています。特に、八十華厳の第45巻において詳細に定義されており、これは仏教における数の体系の一環と言えます。

定義と体系

『八十華厳』に記されている不可説不可説転は、洛叉を基本単位とし、これを100倍した倶胝を基準としています。また、数の系列において、倶胝の2乗を阿庾多とし、さらにそれを2乗した数が那由他、那由他を2乗した数が阿僧祇、そしてその2乗が頻波羅となります。不可説不可説転は、こうした数の系列の中で122番目に位置し、以下のような数式で表されます。

1不可説不可説転＝107×2122＝1037218383881977644441306597687849648128（約10の37澗乗）

この様に、上数の概念は新たな数単位を生み出すための仕組みであり、数の増加の仕方が二重指数関数に近いことが特徴的です。

大きさの比較

不可説不可説転の数は、他の大きな数と比較しても非常に際立っています。例えば、1無量大数は1068であり、1グーゴルは10100です。それに対して、1不可説不可説転は、無量大数の約5400溝乗とされ、計測するのが困難なほど膨大です。さらに、1不可説不可説転の270那由他乗は、1グーゴルプレックス（10の10の100乗）に相当するとされ、このように巨大な数は、悟りの功徳の大きさを象徴するものとしても捉えられています。

他の経典の定義

興味深いことに、『華厳経』には異なる体系で定義された別の「不可説不可説転」も存在します。『四十華厳』では、洛叉を定義する際に異なる基準が採用されており、その結果、ここでの不可説不可説転は次のように表されます。

1不可説不可説転（四十華厳）＝107×2142＝1039026304097428590497687506977134632635465728（約103.9×1043）

さらに、六十華厳の文脈では、拘梨を基準とした「不可説転転」という最大の数があります。この場合、値は次のようになります。

1不可説転転（六十華厳）＝1010×2120＝1013292279957849158729038070602803445760（約101.3×1037）

結論

不可説不可説転は、その名の通り、計算することができないような巨大な数として、仏教の教えを深く象徴しています。この数は、悟りの全体的な理解を深めるための道具ではあるものの、実際の計算や日常生活にはまず影響しない存在と言えます。数の増え方についてのさらなる興味は、華厳経が持つ数の多様性を垣間見ることができる点でも重要です。

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