不洗観音寺

不洗観音寺について

不洗観音寺（あらわずかんのんじ）は、岡山県倉敷市に所蔵されている真言宗の単立寺院で、景光山という山号を持っています。正式には「景光山観音寺」と呼ばれ、この寺の本尊は十一観世音菩薩です。ここは子宝や安産を願う参拝者が集まる場所として知られています。また、瀬戸内三十三観音霊場の第一番札所、さらに備中西国三十三観音霊場の第三十番としても有名です。特にこの寺院での安産祈願は多くの人々に信仰されています。

寺の歴史

不洗観音寺の歴史は奈良時代の天平年間（729年 - 749年）に遡ります。寺の伝承によると、稽文会・稽主勲父子が刻んだ観音像が当地に安置され、さらに僧侶の行基と菩提僊那の手によって発展したとされています。その後、夢のお告げを受けた増慶がこの寺を開基します。その山には清らかな水が湧き出ており、この水は「閼伽井（あかい）」と呼ばれました。

特にこの閼伽井の水は、赤ちゃんが生まれた際に三日三夜の間に使用することで、無病息災に成長すると信じられています。このような背景から「不洗観音寺」という名が付けられました。

本堂は明和5年（1768年）に建てられ、堂内には旗本中庄戸川家の5代目、戸川安清が奉納した縁起額が飾られています。また、昭和29年（1954年）には真言宗御室派から独立し、真言宗の単立寺院となりました。

文化財

不洗観音寺には天然記念物に指定されている影向の松（ようごうのまつ）があります。この松は推定樹齢200年を誇り、寺院の義雲和尚が移植したものと伝えられています。枝は円形に広がっており、その周囲は約60メートルにも及びます。この松は昭和40年（1965年）に倉敷市の天然記念物として指定されました。

他の札所や鎮守社

不洗観音寺は瀬戸内三十三観音霊場の一部に位置し、周辺には他の札所があります。例えば、福性院が第一札所で、遍照院が第二札所です。また、寺院の西側には貴舩神社（きふねじんじゃ）があり、こちらは寺の鎮守社としての役割を果たしています。この神社は明治45年（1912年）に地元の宮大工によって再建されたもので、昭和6年（1931年）には新たに拝殿と石段が設けられるなど、地域の人々に大切にされてきました。

不洗観音寺はその由緒、信仰の深さ、そして自然に囲まれた美しい環境から、多くの人々に訪れられる寺院として今日まで栄えてきました。

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