不良少女 魔子

『不良少女 魔子』

『不良少女 魔子』（ふりょうしょうじょまこ）は、1971年8月25日に日活より公開された青春映画です。本作は、後に多くの作品を手掛ける蔵原惟二監督にとって記念すべき長編デビュー作であり、当時の人気女優であった夏純子が主演を務めました。

作品概要と製作背景

この映画が製作された1971年という時期は、日活という映画会社が経営戦略を大きく転換しようとしていた特別な時期にあたります。長年にわたり娯楽映画を製作してきた日活は、この後、ピンク映画の一種である「日活ロマンポルノ」を製作の中心に据えることになります。『不良少女 魔子』は、まさにその路線転換の「前夜」とも呼べるタイミングで世に出されました。

当時の日活の製作現場には、先行きの不透明さから「この作品が、旧来の日活体制下で撮られる最後の映画になるかもしれない」という独特の緊張感や雰囲気が漂っていたといいます。そして実際に、『不良少女 魔子』は、旧体制下で企画・製作された一般向けの劇映画としては、事実上、最後の作品となりました。日活は、この後まもなく「ロマンポルノ」へと本格的に移行していくことになります。

ただし、旧体制で製作された作品が全て本作で公開終了となったわけではありません。1968年に完成しながらも未公開だった『朝霧』が、本作の公開から約一ヶ月後の1971年9月18日に公開されています。この『朝霧』が、結果として最後に公開された旧日活の劇映画となりました。

本作の脚本には、藤井鷹史という名義で、後に監督としても活躍する長谷部安春が参加しています。黒木三郎も脚本に名を連ね、企画は今戸栄一、沢田喜代一、佐々木志郎が担当しました。

キャスト

本作を彩る個性豊かなキャスト陣は以下の通りです。

魔子：夏純子
洋次：岡崎二朗
田辺：藤竜也
ユリ：戸部夕子
徹：小野寺昭
早苗：太田美鈴
春美：美波節子
おカズ：原田千枝子
リエ：宮野リエ
秀夫：清宮達夫
ナナ：相川圭子
安岡組々員：高橋明
安岡組々員：沢美鶴
安岡組々員：有村道宏
サブの親爺：河上喜史郎
支配人：市村博
マスター：荒井岩衛
ポン引きの男：光沢でんすけ
お女将：原恵子
万引女学：牧まさみ
マダム：佐々木すみ江
内海：深江章喜
安岡：宍戸錠

スタッフ

本作の製作を支えた主なスタッフは以下の通りです。

監督：蔵原惟二
脚本：藤井鷹史、黒木三郎
企画：今戸栄一、沢田喜代一、佐々木志郎
音楽：鏑木創
撮影：山崎善行
編集：鈴木晄
美術：木村威夫

併映作品

本作は公開時、『八月の濡れた砂』と併映されました。『八月の濡れた砂』は、藤田敏八が監督を務めた作品です。

『不良少女 魔子』は、日活の歴史的な転換点に製作された一本として、当時の映画状況を知る上でも興味深い作品と言えるでしょう。

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