世界侵略: ロサンゼルス決戦

概要

『世界侵略: ロサンゼルス決戦』（原題：Battle: Los Angeles、北米以外では『World Invasion: Battle LA』）は、2011年に製作されたアメリカのSFアクション映画です（PG12指定）。突如として地球に襲来した未知の生命体と、人類の存亡をかけた戦いを繰り広げるアメリカ海兵隊の姿を、臨場感あふれる戦闘シーンを通して描いています。特に、ロサンゼルスを舞台にした絶望的な状況下での兵士たちのサバイバルと任務遂行が中心に描かれます。

ストーリー

ある日、世界中の主要な沿岸都市沖合に、流星群のような未確認物体が相次いで落下します。これらは瞬く間に姿を変え、武装した地球外生命体として侵略を開始しました。カリフォルニア沖に飛来したエイリアン部隊は、ロサンゼルス近郊のサンタモニカ海岸を襲撃し、街は瞬く間に戦場と化します。事態を憂慮したアメリカ軍は、全軍に動員令を発令。アメリカ海兵隊も出動を余儀なくされます。

主人公は、過去の作戦での部下死亡というトラウマを抱え、除隊間近だったマイケル・ナンツ二等軍曹です。彼は急遽、実戦経験の浅いウィリアム・マルティネス少尉が率いる小隊に編入され、再び戦場の最前線へと送られることになります。

エイリアンの猛攻により世界中の都市が壊滅的な被害を受ける中、アメリカ軍は敵が航空戦力を持たないという弱点に気づきます。そこで、エイリアンに制圧されたサンタモニカ市街地に対し、限定された時間内に民間人を救出した後、大規模な空爆を実施する作戦が立てられます。ナンツたちの小隊に課せられたのは、空爆までのわずか3時間という時間内に、市内に取り残された民間人を捜索・救出するという極めて危険な任務でした。

小隊は、救難信号を発したロス西警察署へと向かいますが、人類が初めて遭遇するエイリアンとの戦闘は、視界の悪い廃墟を舞台にした、予測不能な接近戦でした。砂塵舞う瓦礫の中で、姿の見えにくい敵の襲撃により、一人、また一人と仲間が倒れていきます。作戦は困難を極め、彼らは退路を断たれてしまいます。小隊には、ナンツに兄を殺されたと恨むロケット伍長、結婚式を控えたハリス伍長、戦闘ストレスに悩むカーンズ上等兵など、様々な事情を抱えた兵士たちが集まっており、極限状況の中でそれぞれの葛藤を抱えながら戦いに挑みます。また、任務中に他の部隊からはぐれた空軍のサントス技能軍曹らとも合流し、連携してこの絶望的な状況からの脱出と任務完遂を目指します。

製作背景とコンセプト

本作の監督であるジョナサン・リーベスマンは、エイリアン侵略という題材を、リアリティ溢れる戦争映画のスタイルで描くことを目指しました。『ブラックホーク・ダウン』、『プライベート・ライアン』、『ユナイテッド93』といった作品からインスピレーションを受け、特にイラク戦争時のファルージャでの実際の戦闘映像を参考にしています。この影響から、撮影には手持ちカメラが多く用いられ、観客がまるで戦場にいるかのような没入感と緊迫感を生み出すドキュメンタリータッチの映像スタイルが採用されました。

製作者たちは、「もしエイリアンが本当に侵略してきたら、一体何が起こるのか？」という問いを立て、脚本の現実味にこだわりました。主演のアーロン・エッカートやラモン・ロドリゲスをはじめとするキャストは、リアリティを追求するため、撮影前に広範な軍事訓練やブートキャンプに参加しました。これにより、俳優たちは役柄への理解を深めただけでなく、劇中で描かれる兵士たちの間に存在する強い絆を自然に表現することに繋がったといいます。

物語の舞台はロサンゼルスですが、実際の主要な撮影はルイジアナ州のシュリーブポートやバトンルージュに組まれたセットで行われました。また、撮影には本物の海兵隊員もエキストラとして参加しており、作品のリアリティを高める一助となっています。

侵略者の設定

地球を襲う未知の生命体は、流星群に偽装した飛翔体に乗って飛来しました。落下前日までその存在は確認されず、その形状や大気圏突入時の挙動から、単なる自然物ではなく人工的な存在であると推測されました。彼らはパリ、香港、そして東京湾を含む世界各地の沿岸部に同時多発的に出現し、侵攻を開始しました。

侵略の目的は明確には語られませんが、劇中では地球に豊富に存在する「水」をエネルギー源や栄養源として略奪するためであると推測されます。彼らの戦力は多岐にわたり、体に直接武器や機械が埋め込まれたサイボーグのような歩兵、複数の脚で移動したりホバー移動する火力支援兵器、空中機動が可能な無人機、そしてそれらを統括する移動式の前線司令部などが確認されています。

本編中では断片的な情報しかありませんが、予告編では、過去にも同様の地球外生命体が地球を訪れていたかのような示唆がなされています。1942年にロサンゼルス上空に出現しアメリカ陸軍が応戦したとされる未確認飛行物体の騒動、いわゆる「ロサンゼルスの戦い」をはじめ、過去にも同様の現象が報告されていることが示唆されました。

公開と反響

本作は2011年3月11日にアメリカでワールドプレミアが行われました。日本での公開は当初2011年4月1日が予定されていましたが、同日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響を受け、公開が一時延期されました。その後、2011年9月17日に改めて公開されました。

日本での宣伝では、「それでも人類は戦うのか。」「映画史に残る2時間ノンストップの銃撃接近戦！」「戦うしか、選択肢はない。」といったキャッチコピーが使用されました。日本の興行成績は、公開3日間で2億4000万円を記録。最終的には7億5000万円となり、事前の予想を下回る結果となりましたが、当時の洋画全体の不振傾向の中では健闘したという見方もあり、2011年に日本で公開された外国映画の中で25位の興行収入となりました。

批評家の評価は国内外で分かれました。海外では、Rotten Tomatoesでの支持率が公開当初は36%程度に留まりましたが、『トータル・フィルム』などの一部のメディアでは星3つの評価を得ています。日本でも、『キネマ旬報』のレビューで「一見の価値あり」と評価された一方、同誌のベスト・テンでは得票数が少なく159位タイとなりました。『S-Fマガジン』では、『ブラックホーク・ダウン』のようなリアルな市街戦をエイリアン相手に描いている点や、敵が姿を見せるまでの緊張感が評価されました。

その他

本作の音楽はブライアン・タイラーが手掛けています。予告編で使用されたヨハン・ヨハンソンの楽曲「The Sun's Gone Dim And The Sky's Turned Black」はサウンドトラック盤には収録されていません。

また、2011年時点では、Saber Interactive開発、コナミ販売による本作のコンピュータゲーム化企画が発表されていました。PlayStation Network、Xbox LIVE Arcade、Steamでの展開が予定されており、主演のアーロン・エッカートもゲームで同じ役を演じる予定でした。

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