丘の公園内遺跡群

丘の公園内遺跡群

丘の公園内遺跡群は、山梨県北杜市（旧北巨摩郡高根町清里字念場原）に位置する複合遺跡群です。この遺跡群は、旧石器時代から縄文時代草創期を中心に、中世に至るまでの長い期間にわたる複合遺跡であり、県内ではじめて姶良Tn火山灰（At）が確認された場所としても知られています。

概要

遺跡群は、八ヶ岳山麓の標高1100メートルから1240メートル付近、念場原の東部に位置しています。八ヶ岳山麓は冷涼な気候と豊富な湧水に恵まれた地域であり、県内では天神堂遺跡など、旧石器時代から縄文時代の遺跡が数多く分布しています。隣接する長野県の野辺山も、旧石器時代の遺跡が分布することで知られています。

念場原は、川俣川と大門川の崖線によって区切られた、南北8キロメートル、東西3キロメートルの範囲に広がる地域です。開発前は原生林が広がっていましたが、周辺には旧湖沼が埋没した砂礫層が分布し、中小河川による侵食によって起伏が形成されています。北部は比較的起伏の少ない扇状地となっています。

発掘調査

遺跡群は、JR小海線の南側に位置する山梨県企業局が開発した総合スポーツ・レクリエーション施設「清里丘の公園」内にあります。第1遺跡から第7遺跡、そして14番ホール遺跡の合計8箇所が確認されており、1987年（昭和62年）の発掘調査では、県内で初めてコンピュータや光波測距儀が用いられました。

この発掘調査によって、旧石器時代から縄文時代草創期初頭にかけてのナイフ形石器、槍先形尖頭器、削器、掻器、石錐などの石器類が出土しました。また、礫群や配石も検出されています。礫群は熱を受けた痕跡があるものの、再利用された形跡はなく、接合部を合わせると半数が遺跡外に持ち出されていることが判明しました。

まとめ

丘の公園内遺跡群は、八ヶ岳山麓の豊かな自然の中で、古代の人々の生活を垣間見ることができる貴重な遺跡です。出土した石器や礫群からは、当時の人々の狩猟や生活の様子を推測することができます。また、県内で初めてコンピュータや光波測距儀が用いられた発掘調査としても、その記録方法において重要な意義を持っています。

参考文献

保坂康夫「丘の公園遺跡」『甲斐路』
山梨県埋蔵文化財センター『丘の公園第2遺跡発掘調査報告書』 46巻〈山梨県埋蔵文化財センター調査報告書〉、1989年3月31日。doi:10.24484/sitereports.7151。
* 保坂, 康夫、網倉, 邦生、秋山, 圭子、松村, 佳幸『丘の公園第1遺跡』 23巻〈北杜市埋蔵文化財調査報告〉、2007年3月31日。doi:10.24484/sitereports.4301。

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