両国教会

両国教会

両国教会は、1877年（明治10年）にスコットランド一致長老教会の宣教師ロバート・デイヴィッドスンによって設立されたキリスト教会です。当初は現在の東京都中央区に位置していましたが、その後の移転を経て、現在は杉並区に根ざし、日本基督教団永福町教会として活動を続けています。

歴史

教会の歴史は、明治10年12月18日にさかのぼります。当時の両国矢ノ倉町（現在の東京都中央区東日本橋一丁目付近）にあった水野候の屋敷にて、正式な教会組織が確立され、「両国矢ノ倉町日本基督教会」として歩みを始めました。これは、水野候の屋敷で御用人格を務めていた三浦千尋（三浦徹の父）の尽力によるものです。

設立当初の役員構成は、仮牧師にデイヴィッドスン宣教師、長老に松崎連、そして執事に三浦徹が就任しました。毎週の礼拝には、40名から100名の人々が集まったと記録されています。翌年の明治11年4月3日には、両国教会は日本基督一致教会東京中会に加入し、日本のキリスト教界における連携を強めました。

さらに進展があったのは明治12年（1879年）です。新たな会堂が建設され、東京一致神学校で学んだ三浦徹が初代牧師として正式に就任しました。

しかし、教会は幾度かの試練に直面します。明治17年（1884年）9月15日に東京を襲った激しい暴風雨により、建設されたばかりの会堂が倒壊してしまいました。このため、同年11月23日にはスコットランド一致教会の提案を受け、教会は芝区桜鍛冶町（現在の東京都港区の一部）へ移転することを余儀なくされました。

初代牧師である三浦徹は、25年間にわたり牧師給与を受けながらも、教会が宣教団からの経済的自立を果たすことを目指しました。明治32年（1899年）、三浦は両国教会を離れ、エドワード・ローゼイ・ミラー宣教師と共に盛岡での伝道活動を開始します。

同年、星野光多が2代目の牧師として両国教会に就任しました。しかし、明治38年（1905年）には、ポーツマス講和条約に関連した騒乱が発生し、会堂が再び破壊されるという事態に見舞われました。

破壊された会堂は、明治42年（1909年）に再建されます。その後、大正9年（1920年）には小林誠が3代目、昭和15年（1940年）には辻勝太郎が4代目の牧師に就任し、教会の活動は続けられました。

第二次世界大戦末期の昭和20年（1945年）4月、東京大空襲により会堂は焼失してしまいました。同年8月に終戦を迎えたものの、11月には辻勝太郎牧師が逝去するという悲劇も経験します。戦後の混乱期を経て、昭和21年（1946年）2月に渡辺充が5代目の牧師に就任し、教会の再建に向けた歩みが始まりました。

昭和23年（1948年）、教会は現在の地である杉並区永福町に新たな会堂を建設し、これを機に教会名を「永福町教会」と改称しました。その後も、昭和39年（1964年）と平成27年（2015年）に会堂の建て替えが行われ、今日に至っています。

教会名と地名

教会名に冠された「両国」という地名は、設立当時の所在地であった現在の東京都中央区東日本橋周辺、特に旧称「両国矢ノ倉町」（現在の東日本橋一丁目）を指していました。現在では「両国郵便局」などの名称に残るものの、一般的に「両国」というと隅田川を挟んだ墨田区側を指すことが多いですが、教会設立当時は、墨田区側は「東両国」や「向こう両国」といった呼び方が一般的でした。

主な出身者

両国教会からは、桑田秀延といった人物が輩出されています。

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