並木宗輔

概要

並木 宗輔（なみき そうすけ、1695年 - 1751年）は、江戸時代の浄瑠璃作家の中でも特に優れた存在として知られています。彼は、浄瑠璃の三大傑作とも称される『菅原伝授手習鑑』、『義経千本桜』、『仮名手本忠臣蔵』の作者として名を馳せました。生活背景や作品への影響力を考慮すると、彼の存在は江戸時代の文化において非常に重要なものとなります。

経歴

並木宗輔は、備後国三原、現在の広島県三原市で生まれました。彼の出自については不明ですが、臨済宗成就寺で修行をかさねた僧侶として知られています。享保9年（1724年）、彼は還俗し、大坂に移ると浄瑠璃作家に転身しました。この還俗の理由や経緯は詳細には伝わっていませんが、彼の名は松屋宗輔という通称でも知られています。これは大坂への移住後に養子に迎えられた家の屋号に由来すると考えられています。

初期には並木宗助と名乗り、豊竹座の作者西沢一風の門下で修行し、享保11年（1726年）に『北条時頼記』で作者としてデビューしました。この作品の次に発表した『清和源氏十五段』においては、立作者としての役割を果たしました。その後、宗輔は元文2年（1737年）より並木宗輔の名前に改め、多数の作品を発表しました。彼の作風は、暗く厳しい人間の本能や社会の矛盾をテーマにしており、緻密な構成力と写実的な文体が特徴です。

寛保元年（1741年）には江戸に下り、約一年間滞在しました。この期間中に、江戸肥前座で『石橋山鎧襲』を合作で執筆。この時期を経て、大坂に戻りますが、彼は豊竹座を離れて歌舞伎作者として活動を始めます。安田蛙文らと共に創作活動を行い『大門口鎧襲』などの作品を手がけました。

その後、延享2年（1745年）には再び浄瑠璃作家として竹本座に参加、名を並木千柳と改めます。彼は数々の名作とともに、竹田出雲や三好松洛らとの合作で『菅原伝授手習鑑』や『義経千本桜』、さらには『仮名手本忠臣蔵』などを生み出しました。作品の立作者にはさまざまな説がありますが、作風や経験の観点から宗輔がその実質的な立作者であるとの見解も存在します。

寛延3年（1750年）には竹本座から再び豊竹座に戻り、名を並木宗輔に復しましたが、寛延4年9月には執筆中の『一谷嫩軍記』が未完のまま、病によりこの世を去りました。享年57歳でした。

代表作品

並木宗輔が生み出した代表的な単独作品は、すべて豊竹座で初演されました。主な作品には、

• - 『南蛮鉄後藤目貫』（享保20年〈1735年〉2月初演）
• - 『和田合戦女舞鶴』（享保21年〈1736年〉3月初演）
• - 『安倍宗任松浦衣簦』（元文2年1月初演）
• - 『釜淵双級巴』（元文2年7月初演）
• - 『丹生山田青海剣』（元文3年4月初演）
• - 『奥州秀衡鬠壻』（元文4年2月初演）
• - 『狭夜衣鴛鴦剣翅』（元文4年7月初演）
• - 『鶊山姫捨松』（元文5年2月初演）

彼の遺作となった『一谷嫩軍記』は、初めの三段目までが彼によって書かれており、その後の上演のために浅田一鳥らが続編を補ったことでも知られています。

宗輔の作品は、現代においても浄瑠璃や歌舞伎に影響を与え続けています。

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